火山予知連会長の藤井敏嗣東大名誉教授からお話を伺いました。
私の興味の一つは、気象庁が気象業務法改正へ動いた要因でした。
藤井会長によれば、気象庁が自信を持ったのかもしれないという印象をおっしゃっていました。
しかし、およそ自然現象に規則性があるのかというとなかなか微妙です。
平成19年10月11日、気象庁は気象業務法の一部改正を行うという報道発表をしました。
同法第3条には気象庁長官の任務が規定されています。
従来は、「気象、津波及び高潮の予報及び警報の中枢組織を確立し、及び維持すること」とされていました。
それを「気象、地震動、火山現象、津波及び高潮の予報及び警報の中枢組織を確立し、及び維持すること」と改正しました。
報道発表資料には、わざわざ『地震動の予報とは、地震の最初のわずかな揺れから各地の揺れ(地震動)を予想し発表することであり、地震の発生の予想は含まない』と書いてありました。
ここまででも突っ込みどころが幾つもあります。
まず、地震動については発生予報などできるはずがないので注意書きがありますが、火山の予報はできるかの書きぶりです。
何という思い上がりでしょうか。そもそも噴火の予兆がキャッチできるのでしょうか?
異常事態はキャッチできたとしても、それが噴火に結びつくかどうかわかるはずがありません。
百歩譲ってできるものだとしても、『中枢組織を確立し』とありますが、気象庁に火山の専門家がいるのでしょうか?
いないからこそ気象庁長官の私的諮問機関として火山噴火予知連が必要なのでしょう。
閣僚でもない気象庁長官の、しかも「私的」諮問機関ですから、とてもとても『中枢組織』ではないでしょう。
どうも日本という国は、法律を作って書き込んでしまえば、『一丁上がり』というところがあって、内実がまるで伴っていないのです。
この気象業務法の改正は、まさにその事例に当たります。
このことが嫌というほど確認できたのが、このほどの藤井敏嗣会長からのレクチャーでした。