『核燃料の再利用 「割高」』

表題は、今日の朝日新聞夕刊の一面トップ記事の見出しです。普通の人は、「何をいまさら」と思うでしょう。
記事によれば『国内の原発54基からは毎年約1千トンの使用済み核燃料が出ていた。これを①全て再処理する②半分再処理し、半分は約50年間、施設で保管する(中間貯蔵)③発電から54年後にすべて直接処分』という3つのパターンを試算したといいます。
その結果、①は1キロワット時1.98円②は1.39円③は1~1.02円で、すべて再処理すると地中埋設のケースの2倍の費用が掛かるというのが原子力委員会の試算だそうです。
仮にすべて再利用した場合でも最終的には地層処分が必要になりますので、どの方策を選んだとしても③の費用はかかります。
また、再利用については使用済み燃料を加工して、未使用のウラン燃料に混合するのですからコスト的に見合うはずがありません。
ではなぜ、コスト的に見合わないことを行っているのかが問題です。
記事にありましたように『毎年約1千トンの使用済み核燃料が出て』という部分です。
使用済み核燃料とはプルトニウムのことですが、プルトニウムの利用法は世界全体を見渡すと実は核燃料ではなく核兵器への転用なのです。
すると、日本が大量のプルトニウムを持つことが、国際社会のルール上どうなのかという問題が出てきます。
核兵器の廃止や核拡散防止を訴えている国がその主要原料ともいうべきプルトニウムを大量にため込んでいるのは好ましいことではありません。
そこで、これは兵器に転用するのではなく燃料として再利用するのだという【論理】を国際社会と(辛うじて?)共有しているのです。ですからコスト的に見合わなくとも使用済み核燃料の再利用をしているのです。
プルサーマル燃料は原子炉の運転も難しくします。本当は再利用したくないというのが運転する側の思いだとも言います。
核燃料の再利用をしなければ原子力の平和利用や原子力の研究が進められない、再利用すればコスト高になる、この二つの矛盾がますます顕在化してきました。
津波による原子力発電所の破壊は、実に広範囲な分野に大きな影を落としてしまいました。


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