月別アーカイブ: 5月 2013

地方財政の正念場

5月17日の日経新聞『交付税なし市町村3倍に』は、非常に気になる記事でした。
もちろん、交付税の不交付団体が増えることに異論はありませんが、問題はその手法です。
記事によれば、第一に産業振興を国が後押しをするのだそうです。しかしながら、わが国の産業政策において国による後押しでの成功事例がどのくらいあったでしょうか。むしろ、後押しがなかった方がうまく行っているケースが多かったように思います。
第二に法人に対する課税方式の見直しによる都市と地方の税収格差の是正です。もし、意図していることが東京都と地方との税収格差のことであるなら理解できます。
第三に歳出の見直しです。
あくまで立法府は国会ですので公共サービスの内容を決めるのも国です。地方分権の流れからは問題がありますが、法的にはそうなります。その際、国が決めた公共サービスに見合った交付税措置だけは確保してもらわなければなりません。この点は注視が必要です。
しかし、それにしても、こうした地方にとって極めて重大な意思決定に、そもそも地方の代表者が関与しているのかどうか、関与できるのかどうか、この点こそ明らかにしてして欲しいと思うのです。

災害対策の第一歩

5月16日に、政府から注目に値する発表がありました。『大規模火山災害対策への提言』です。
この提言の『はじめに』には『いつの日か再び大規模な火山災害が発生することは避けられないであろう』と記述されています。ここで言う『再び』とはどういうことでしょうか?
提言の参考資料の68ページに『巨大噴火の発生頻度』が書かれています。
それによれば、約数十万年前の阿寒カルデラをつくった噴火からはじまって、約7000年前の摩周カルデラをつくった噴火まで巨大噴火が13回数えられています。
つまり約1万年に1度の頻度で巨大噴火が起こっている計算で、現在は最後に起こった噴火から7000年経っているというわけです。
また、約7300年前に鬼界カルデラを形成した巨大噴火(屋久島付近の海中での噴火)がありましたが、これにより『南九州で生活していた縄文人はほぼ全滅したと考えられて』おり、『植物相の回復に数百年間を要した』(P69)とされています。
全く嫌な話です。科学的な知見が進めば進むほど、知らなければ良かったと思えるような事象が私たちの前に現れます。しかし、たとえそれが嫌な話であろうと、それを真正面から受け止めることから災害対策が始まることを心に銘記したいと思います。

電源喪失は津波?

今朝の毎日、日経新聞に注目すべき記事がありました。『「非常用電源 津波で喪失」東電福島原発データ解析』、『津波到達時のデータを発見』です。
記事によれば、『東京電力は10日、福島第1原発事故で、これまでないとしてきた津波到達時の非常用ディーゼル発電機の作動状況を示すデータが見つかったと発表した。』(日経新聞)。
国会事故調査委員会の報告は、津波ではなく地震動によって電源喪失としていましたが、実は非常用発電機が停止したのは午後3時36~37分であり、津波到達時刻と一致しているというわけです。
これが事実だとすると、国会事故調の指摘は誤りということになります。
しかし、ここで注意深く見ておかなければならないことは、実際の地震動は東電の想定していた地震動を上回っていたことです。
東西方向の最大加速度は、第2号機で550ガル、3号機で507ガル、5号機で548ガルでした。それぞれ東電が想定していた最大加速度よりも25.57%、14.97%、21.24%上回っています。
つまり、耐震設計上想定していないほど大きな地震動ではあったが、非常用電源はちゃんと起動したということになります。
すると、何のことはない、電源喪失という点でも単に大きな幸運に恵まれてたまたま免れたという話だったのですね。

ハッキングがビジネス?になる時

夕刊各紙は、パソコン遠隔操作事件の片山被告が4度目の逮捕となったことを報じています。
この事件は愉快犯の部類でしょうが、企業の重大な情報をハッキングによって入手し、その企業を脅迫するという犯罪があります。
昔、エドワード・E・スミスのスペースオペラ「宇宙のスカイラーク」のシリーズをよく読んでいました。
主人公は、敵に囚われの身となっています。しかし、敵が窮地に陥るような重大な情報を牢屋の中で考えついて、敵と取引をして解放されるという設定でした。相当無理のある設定だなと思っていましたが、現代社会はPCさえあればアイデア一つでビジネスも犯罪も可能です。
実際、PCをウイルス感染させ、ネットバンクの口座から不正送金させる犯罪が起こっています。わが国の不正送金の被害額は35都道府県の56金融機関の160口座で年間約3億円とされています。
もちろん、アンチウイルスソフトもありますが、そもそもそうしたソフトが(よく知らない)民間企業によって開発されていることに一抹の不安を感じます。パソコンの遠隔操作事件に限らず、まさにサイバー空間では何でもありという不気味さを感じます。
1928年にすでにこうした手法を想像していたE・E・スミスの慧眼にはただただ驚くばかりです。

マヨン山の噴火で5人の犠牲者が

マニラの南東300kmほどのところにあるマヨン山が、本日噴火したことをCNNで確認しました。
『Five climbers killed after deadly vilcanic ash blast』と報じています。
噴煙は500㎞の高さに達し、ドイツ人観光客とガイドの方が亡くなりました。ご冥福を心よりお祈りいたします。
この噴火でもわかるように、火山がいつ噴火するかは誰にもわかりませんし、その兆候を知ることも不可能です。
事実、霧島の新燃岳は、噴火前日に火山研究者が入山していましたが、何の兆候も認めていません。
正確に言うと、新燃岳からかなり離れた2点の観測地点の距離が変化していることはGPSによりわかっていました。しかし、それが新燃岳の噴火と結びつくとは誰にも言えないのです。これが今の研究レベルです。
今回のマヨン山も観光客には人気の登山コースです。では、富士山では・・・。富士山の登山客はマヨンの比ではありません。
富士山は人間で言えば若者であり、これから活動が活発化する火山です。いつかは必ず噴火しますし、たった今噴火してもおかしくありません。
この情報だけはすべての登山客に伝わっていなければならないと思います。