日別アーカイブ: 2013年5月5日

メリーポピンズの時代

ジュリー・アンドリュース演じるところのメリーポピンズのオープニングは『女性に参政権を』というタスキをかけた女性の登場から始まります。1910年当時のイギリス社会の様子が透けて見えます。
米国ニュージャージー州在住の作家・冷泉彰彦氏によれば、米国憲法に男女平等条項を加えようという発議が議会に提案されたのが1923年だそうです。そして、実際に発議できたのが1972年とのことですから、実に50年も議会の中で押したり引いたりしてきたのでしょう。今の感覚では到底理解しがたいものがあります。
このように、たとえそれが(今の感覚では)自明の事項であったとしても、米国において憲法を改正しようという時には相当の年月をかけて議論をしていることが分かります。憲法が普通の法律とは違う最高規範であること、また国家が国民の権利を侵害しないようにする歯止めである以上、それ相応の議論を経なければならないという考えが根底にあります。
いま、わが国では憲法96条の規定を改正しようという動きがあります。
衆参両院の3分の2条項というハードルを下げようという動きです。
仮に、これが過半数でOKということになれば、昨今の国政選挙にみられるようにちょっと風が吹けば憲法改正の発議ができるようになるでしょう。
そして、選挙後の数年後には失敗した選択だったと悔やむことになったとしても後の祭りということになりはしないでしょうか。
衆参両院で3分の2というハードルがあればこそ議論を重ねようということになるのであり、私はこのハードルを下げる必要はないと思っています。
米国ではたとえ議会で発議されたとしても、その次の段階で全州の4分の3が賛成しない限り改正できません。この全州の4分の3という縛りはさらに厳しいものであると言います。
わが国では国民投票で過半数ですから、むしろ米国よりも相当緩やかという気がします。
昨日は憲法記念日でした。一度、ご家族で話し合ってみることも大切だと思います。