日別アーカイブ: 2013年2月27日

夕張市には申し訳ない思い

「週刊ダイヤモンド」3月2日号の第2特集が『ハコモノが地方を潰す』でした。
そのなかにこのようなことが書かれていました。
『06年に財政破綻し、全国唯一の財政再建団体になった夕張市。国の管理下で歳出削減を徹底するなど、血のにじむような努力を重ねている。』
財政破綻というと、通常は金融機関が債務免除に応じるというイメージがあります。しかし、夕張市は金融機関に債権放棄を求めることもなく、それなりの時間はかけるものの、あくまでも再生振替特例債などの債務返済をしていきます。つまり他人様には迷惑はかけませんという訳です。
10億円に満たない税収で39億円もの返済をするという非常に厳しい道を歩む理由は、要するに地方財政制度の信用を守るためでしょう。
仮にも自治体がデフォルトするようなことがあれば、地方財政の信用が根底から揺らぎ、わが国ような超赤字国にあっては国の財政、国の経済が揺らぎかねません。
したがって、夕張市は何が何でも借りたものは返さねばならないというのが至上命令なのでしょう。
米国においては、時々何々市が破綻したというニュースが出ます。しかし、それで米国経済が危機に陥るとは誰も思いません。
すると、もしかするとわが国においても一つや二つの自治体が破綻しても、わが国経済にそれほど影響がないのかもしれません。
しかし、総務省なり財務省なりが、それはあまりにリスキーだ判断しているのでしょう。
確かに、夕張の元市長の政策失敗とそれをチェックできなかったガバナンスの問題は責められるべきでしょうが、こと市民の皆さんに限っては、地方財政の制度を守るための犠牲になってもらっているのだという非常に申し訳ない思いを持っています。
ましてや財政再建団体になってしまったそもそもの理由が、産業構造の大転換によるものであればなおさら心苦しさを覚えるのです。