書店に行くと新書真っ盛りの時代だと思います。いったい何社が新書を発刊しているのでしょうか?
中には一つの社で幾つもの新書のシリーズを持っているところもあります。
私が最も新書を読んだのは中学、高校時代ですが、やはり手軽に効率よく知識や教養を身に着けることができるのが最大の理由でした。
その頃の新書と言えば何と言っても岩波新書でした。早稲田や神保町の古本屋街に幾度足を運んだことでしょう。
さて、その数ある岩波新書の中で、もっとも印象に残っているのは『「おかげまいり」と「ええじゃないか」』(藤谷俊雄)です。
とは言え、私はこの本を読んでいません。いつか読もうと思いながら今日に至っています。
「おかげまいり」とは、伊勢参りのことですが、60年周期で熱狂的なブームが巻き起こって、数百万人規模でお参りをするのです。
たとえば500万人がお参りしたという天保元年(1830年)の人口は3200万人と推定されていますので、途方もない人数であることがわかります。
当時は、徒歩で行くしかありませんので、奉公人などは何日も休みを取ることになります。抜け参りと言って、多くの人たちが突然仕事をほっぽり出して伊勢に行ってしまったとされています。
「ええじゃないか」は東海、近畿地方を中心に起こった大衆的熱狂です。「ええじゃないか」の囃子をもった唄を高唱しながら集団で乱舞したと広辞苑にはあります。
これは江戸幕府滅亡の1年前ですのことですから、時代の閉塞感はここに極まれりという感じだったのではないでしょうか。
そのように考えていくと、『閉塞の時代』には民衆のエネルギーが爆発することはごく当たり前ということになります。
その爆発がクーデターという形をとるのか、ええじゃないかという形をとるのかはともかくとして社会変革のエネルギーが人間の中にはあるわけです。
民主主義は、良くも悪くも選挙という形でエネルギーを発散させてくれます。ところが、公正な選挙がない国はやはり民衆のエネルギーが溜まっていくことになります。
隣国の暴動や核開発を見ていると人々のエネルギーが変な方向に爆発しなければいいなと思わずにはいられません。
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