今日の朝刊各紙は、不信任案と一体改革関連法案にかかわる解散総選挙の行方が中心でしたが、それに伴い「TPP」についての論評もかなり取り上げられていました。
読売新聞は、2面(総合面)に大きく『TPP参加表明先送り』『年内交渉入り絶望的』と報じ、そのうえで7面の経済面においてもさらに重ねて2面と全く同じ『TPP参加表明先送り』という見出しを打ちました。
さて、私が、TPPがよくわからないと言うのは、「農業分野を成長戦略にせよ」という議論についてです。
もちろん、農業が経済成長に寄与する分野になるのは素晴らしいことですし、そうあってほしいと切実に思います。そうあらねばだめなのだという勇ましい意見も十分理解しますし、そうあってほしいと切実に思います。
でも、それは実現可能なのかどうか、どういう条件なら実現可能なのかと言うことも同時に考えあわせねばならないと思うのです。
これまで日本は、農村地域から人材を集め、通産行政をフル稼働させてありとあらゆる手段を講じて工業化を図ってきました。
その結果、世界有数の工業国になり、自動車産業のみならず電機、精密、機械など多くの分野で文字通りナンバー1になりました。
しかし、それでも円高には勝てないのです。その産業の実力以外のところで勝ち負けが決まってしまうのがグローバル社会なのです。
それでも工業であれば、日本から生産拠点や研究拠点を移すことができます。農業は基本的に引っ越しができません。
この現実を見ると、「農業を輸出産業にする」というスローガンにどうしても現実味を見出せないのです。
農業を強くする、この施策は当然でしょう。しかし、この大変な課題に成功したからと言って、その先がバラ色で「輸出産業化」という話にはどうしてもリアリティが持てないのです。
この部分をぜひ明示していただかないと、私には『やっぱり分からないTPP』であり、『さっぱり分からないTPP』なのです。
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