日別アーカイブ: 2012年8月6日

パワーと理性

幼いころ、普段は蟻も踏まないように歩く優しい男が、車の運転席に座るや否やいきなり凶暴な男に変身するというディズニーのテレビアニメを見て大笑いをしたことがありました。しかし、大人になると素直には笑えなくなります。
身体の大きな動物は凶暴で、体の小さな動物はおとなしいという一般論があります。
人が車を運転するということは、理性や感情と言う精神的なものはそのままなのに、自動車の強力で巨大な運動性能を入手したことになります。気持ちは小動物なのに、運動能力は大型動物と言うアンバランスがそこに生じるということかもしれません。
今回の原発事故への対応や未だに保有国が増える核兵器の状況をみると、「核」や「原子力」という巨大なパワーを制御するに足る理性や感情が残念ながら、未だに人には備わっていないのかもしれないと思ったりします。
原発被災地となった福島県の今後を考えれば、おそらくチェルノブイリ同様に人口が減少していくことは避けられないと思います。チェルノブイリでは死亡者数はそれほど変わりませんでしたが、出生者数はかなり落ち込みました。福島県も次の世代を託す子どもたちの減少に歯止めをかけるのが非常に難しいと推察します。
さらに、観光のようにほかの地域から人を呼び込む産業の将来展望は甚だ暗いと言わざるをえません。1次産業のような食べ物を扱う産業以上に3次産業が落ち込む可能性があります。
福島県の置かれた状況は、中長期的には広島、長崎以上に困難な道なのかもしれません。私たちは福島県民をどう支援するのか?国として福島県民をどう援助していくのか真剣に考えなければなりません。
これは極めて重大な事態であり、それをわが国、すべての国民が背負ってしまったことを重く受け止めなければなりません。
広島の平和の祭典の日、どうしてもこのことに思いを寄せざるを得ませんでした。
たった一つの原子炉の、たった一回だけの事故でここまでの事態を引き起こすのですから。