日別アーカイブ: 2011年9月14日

放射能汚染衣料を洗濯すると・・・

日本放射線安全管理学会の汚染対策について、かつてこのブログで触れたことがあります。
それは新聞記事からのものでしたが、昨日、同学会の西澤邦英先生(名古屋大学名誉教授)のお話を伺ってきました。
有益だったのは、たとえば衣類の除染です。
福島原発の事故直後に作業していたT社の方々の防護衣とA社の方々の作業着、帽子、靴下を防除の観点から実験した結果です。
靴下は特につま先の部分とかかとの部分に高い放射能汚染がありました。
A社の社員のお一人の行動をみると、3月11日~14日は大熊町にいました。うち、13、14日はオフサイトセンターで待機です。そして14日のうちに福島高専に避難します。16日に広野町、いわき市を経て水戸市へ移動します。そんな行動でした。
特に、原発の周辺にいたということもないのですが、そもそも実験ができるということはそれなりに放射性物質が靴下に付着していたことを意味します。この点は少し気になりました。
この方のズボンについても、裾とお尻の部分の放射線量が若干高かったとのことです。
つまり、避難場所(かどこか)で、この方は靴を脱いだり座ったりしたために靴下やズボンに放射性物質が付着したと考えられます。
さて、そうした衣料を一回洗濯するとだいたい65~80%除染できます。2回の洗濯で75~90%、3回で80~90%です。
洗濯機については回転渦巻きでもドラム式でも差異がありません。
したがって、市販の洗剤でふつうに洗っても3回洗えばまずは大丈夫というお話でした。
特にホッとしたのは、その際に汚染されていない綿の手袋を一緒に洗ったそうですが、手袋が汚染されることはなかったというお話でした。
ただし、もちろん洗濯排水は放射性物質が含まれていますので注意しなければなりません。

放射線障害は30年後

児玉龍彦教授の『内部被曝の真実』(幻冬舎新書)を読みました。
同教授の怒りの本質は、「一片の通達で責任逃れをしている国のやり方」「本来やるべきことをやらずに子どもや住民を被ばくの危険にさらしている国の不作為」なのだと思いました。
同教授は、内部被曝に関しては「一番必死に研究しております」と第一人者の自負を述べられています。
そして、『ヨウ素131』は甲状腺に集まり、『セシウム』は尿管上皮や膀胱に集まるとしています。(ホールボディカウンターで全身をスキャンしても無意味だとも・・・)
チェルノブイリの事故の際に、子どもの甲状腺がんが問題になりましたが、笹川財団の資金によって5万人ほど調べたものの、WHOが放射性ヨウ素と甲状腺がんの因果関係を認知したのは20年たってからでした。
半減期が短いために放射性ヨウ素はすでに無くなってしまっているにもかかわらず、その被害は20年から30年後に出るというのですから、長期的な腰を据えた健康診査体制が必要です。
一方、膀胱がんとの因果関係が疑われるセシウムについては因果関係が明らかになるのはさらに長期化するだろうと言います。
つまり、現時点では証明できない。しかし、証明できないから因果関係はないとも言えません。
すると、被曝による危険性を認識するのは被曝した本人しかいないということになります。
そうであれば、少なくとも被曝した本人は自分の被曝線量を知る権利があります。
放射性物質を拡散させてしまった国や東電は、被曝線量測定に責任を負うべきと思います。
この世にセシウムという物質が現れてからわずか66年しかたっていません。この放射性物質が人体にどういう影響を及ぼすのか研究は始まったばかりだということのようです。