日別アーカイブ: 2011年8月14日

ハブはハブでも日本型ハブを

成田を羽田をハブ空港にしようという発言が活発です。
その際、必ず出される事例がシンガポールであり仁川です。
私は二重の意味で間違っていると思っています。
一番恐れるのは、「遅れてきた青年」ならぬ「遅れてきた政策」で、もはや時代遅れなのに止められなくなることです。
かつて私は「ふじいの独り言」のなかで『コンコルドの誤謬』について書いたことがあります。
動き出してしまったプロジェクトや政策が、多方面に与える影響の大きさから失敗だとわかってからも止められなくなることです。
「もんじゅ」も典型のような気がします。「もんじゅさながらコンコルド」というと言いすぎでしょうか?
いずれにせよ、打つ手が一周遅れなのに、そのうえコンコルドの誤謬をやってしまっては勝てるはずがありません。
では、今なぜハブ空港なのでしょうか?
その理由がわかりません。
LCCと言われる安価な航空会社が安価に航空機を飛ばしている時代なのです。(安価だからと言って規模が小さいとは限りません。念のため)
乗客からすれば、誰が考えてもハブではなく直行便が楽に決まっています。
コストがどんどん下がっていけばハブなど飛ばされてしまうはずなのです。
シンガポールや仁川はそうなる可能性が高いと思います。したがって、こうした事例はモデルになりません。
第二に、これまでは羽田も成田も便数が限られていましたので、どうしても大きな機種で勝負するという面がありました。しかし、これからは違います。
機体も大きさではなく最適なサイズへと変わっていかざるをえません。
成田は、国内と海外を結ぶハブへと動き出すべきではないでしょうか?
これからが本当の意味での航空戦争のスタートだと思います。
新幹線のストロー効果という負の側面が今後明確になっていくことを考え合わせれば、いよいよ空の面白い時代に入った気がします。
そのときに日本人にぜひ頑張ってほしいのですが、外国人にも同一チャンスを与えるのが自由主義経済の本筋だと思います。

広島型原爆 X 個分とは?

8月13日の読売新聞に『放射性物質の量 広島型原爆20個以上』という記事がありました。
児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長が原子炉の熱量から広島型原爆の20~30個分と算定したという記事です。
この記事をどう評価すればよいのか?実はよくわかりません。
広島においては、わずか1Kgのウラン235が核分裂したと推定されています。にもかかわらず、爆心地から500mでは死亡率90%以上、500mから1Kmでは60~70%の人が即死し、約14万人が亡くなりました。
爆心地における地表温度は3000~6000度に達し、屋根瓦は溶け木造家屋は自然発火しました。(ウィキペディアによる)
こうしたものすごい爆弾の20~30個分というのは想像を絶するものです。
一方、東大病院放射線科の中川恵一准教授(かつて私の時局講演会においでいただいたこともある立派な先生です)の『放射線のひみつ』(朝日出版社)には、チェルノブイリ原発事故では広島型原爆400個分の放射性物質が放出されたと書かれています。
この事故では、作業員53万人の平均被ばく線量117ミリシーベルト、周辺避難民11万5千人は31ミリシーベルト、ベラルーシ、ロシア、ウクライナの住民640万人は9ミリシーベルト、ヨーロッパでは0.3ミリシーベルトだったという2008年の国連科学委員会の報告が紹介されています。(すべて全身被ばく=実効線量)
広島原爆と言えばやはりその悲惨さがすぐに思い浮かびます。それとの比較記事を載せるのですから、当然「福島の事故は大変なんだ」と言いたいのでしょう。
そうであれば、記事では単純に対比できないものを対比したのですから「何をどう恐れればよいのか?」をぜひ示してもらいたかったと思います。読者が一番知りたいのはそこなのですから。