今朝の読売新聞に『原発輸出 当面は継続』という記事がありました。表記の案件について、政府は閣議決定したとのことです。
これまで『核拡散』という観点での議論がほとんどなかったように思います。しかし、閣議決定を機にこの方面での議論が活発化することでしょう。
平成17年3月28日に原子力担当の内閣府参事官・戸谷一夫氏がまとめた『原子力委員会における新長期計画の検討状況について』という文書があります。
その中に掲げられている「基本方針」「基本的方向」には以下のように書かれています。
1.基本方針
我が国における原子力発電の推進にあたっては、経済性の確保のみならず、循環型社会の追究、エネルギーセキュリティの確保、将来における不確実性への対応能力の確保などを総合的に勘案するべきとの観点から、核燃料資源を合理的に達成できる限りにおいて有効に利用することを目指すものとし、「安全性」、「核不拡散性」、「環境適合性」を確保するとともに、「経済性」にも留意しつつ、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を
有効利用することを基本方針とする。
2.当面の政策の基本的方向
○当面は、利用可能になる再処理能力の範囲で使用済燃料の再処理を行うこととし、これを超えて発生する使用済燃料は中間貯蔵することとする。中間貯蔵された使用済燃料の処理の方策は、六ヶ所再処理工場の運転実績、高速増殖炉及び再処理にかかる研究開発の進捗状況、核不拡散を巡る国際的な動向等を踏まえて2010年頃から検討を開始する。この検討は基本方針を踏まえ柔軟性にも配慮して進めるものとし、その処理に必要な施設の建設・操業が六ヶ所再処理工場の操業終了に十分に間に合う時期までに結論を得ることとする。
1.基本方針は、何を言っているのかよくわかりません。「安全性」「核不拡散性」「環境適合性」をどう確保するのか、「経済性」にもどう留意するのかさっぱりわかりません。
2.基本的方向は、これはすでにフィクションの世界です。そもそも『技術的成立性』『社会的受容性』が成り立っていません。そして結果としてプルトニウムは増え続け『核不拡散』にも国際社会に対してこたえ切れていません。
しかしながら、間違いなく非常にもっともらしい素晴らしい文章です。
私は、こういう見事な文章を賞賛するための文学賞があってもよいのでは、と唸らされてしまうのです。