月別アーカイブ: 8月 2013

『変動帯』を忘れている

今朝の日経新聞『経済教室』は、『原発再稼働への焦点(上)』でした。
筆者の豊田氏は『原子力に対する信頼回復のための努力を前提としたうえで、日本のエネルギー源として原子力は不可欠であると考える』とおっしゃっています。
しかし、私にはこの主張はとても納得できません。『原子力に対する信頼回復のための努力』という発言には、『努力で良いの?』と突っ込みたくなりますし、そもそも『原子力に対する信頼回復』だけでは済まないことは自明だと思うのです。
豊田氏の主張には、日本が、地球上において『変動帯』に位置するという認識がすっぽりと抜け落ちているのです。
原子力の制御技術が完璧であろうと、断層が動いたときに耐えきれる建物は存在しません。巨大津波に耐える設備もありません。
したがって、地球規模で眺め渡せば、原発の適地は日本や南米といった環太平洋の変動帯ではなく、ヨーロッパのような安定した地殻であることは言うまでもありません。
「エネルギー政策上、原発は必要」と言う前に、「日本列島では危険すぎる」という前提があるのです。そして、わが国の原発輸出においても変動帯か否かは考慮されるべきだと思うのです。
(写真は岐阜県での活断層調査です)

産業廃棄物の適正処理について(勧告)

今朝の千葉日報は、野田市南部工業団地の(有)柏廃材処理センターに対して、千葉県が『産業廃棄物の適正処理について』の勧告を出したことを報じています。
勧告には、たとえば『破砕選別棟内は負圧状態にするとともに、吸引した空気を焼却施設の燃焼用空気として供給し、VOCを分解した後、大気放出すること』といった揮発性有機化合物(VOC)の排出対策が書かれています。
しかし、そもそもVOCの排出基準はないそうですので、法律によって罰せられることはありません。もちろん、それによって健康被害があれば民事で訴えられることはあるでしょうが、はたして先の勧告のようなコストを要する改善を行うかどうか注視したいと思います。
また、『改善の勧告を踏まえ、改善計画を作成の上、平成25年9月2日までに提出すること。』とされていますが、この期限に提出されなかった場合はどうなるのでしょうか。
やはり、今回の勧告は、確かに前進ではありますが、住民側から見ればわずかばかりのものでしかありません。
法律として合理的なVOC排出基準を定めることができるかどうか、もし法律として無理であるなら条例をも視野に入れて検討しなければならないと思います。