日別アーカイブ: 2013年8月18日

誤解を与える『公会計改革』の主張

8月17日の公明新聞の主張『公会計制度改革』は、読者に誤解を与える内容でした。
公会計制度が必要なのに全国の自治体に広がらない理由を二つあげています。『公会計制度の重要性に対する認識不足』と『従来方式から新方式への切り替えの手間』です。
これでは「悪いのは全国の首長」ということになってしまいます。
全国の首長は、大人げない批判はしないでしょうが、残念ながら公明新聞の見識は疑問視されたことでしょう。
公会計制度改革が、首長から支持されない理由は地方自治法第233条を見れば一目瞭然です。
法律によって自治体の会計調整方法が決められているのです。しかもご丁寧に、地方自治法施行令166条には『決算の調製の様式及び前項に規定する書類の様式は、総務省令で定める様式を基準としなければならない。』と書類まで雁字搦めなのです。
ほとんどの自治体が地方交付税交付団体であり、住民サービス充実に1円でも惜しいと思っているときに、わざわざ住民の税金を使って法律以外の会計書類を作成するでしょうか。地方自治法が改正されないなかで、従来の調製に加えて新しい調整もやるべしと言うのは、住民サービスを削れということに他なりません。
公会計改革は、あくまで国の責任なのです。地方議会でも住民サービスを犠牲にすることを十分認識したうえで「公会計制度を改革すべし」という主張をすべきでしょう。

分かりにくい社説

今朝の毎日新聞社説は『国の役割も忘れるな』という表題で、原発廃炉の負担について論じています。
その主張は以下の2点です。
1、「脱原依存」を進めるために国も積極的に役割を果たせ。
2、国も廃炉費用の負担をせよ。
その論拠として、廃炉の負担を電気料金に上乗せするだけでは利用者の反発を招きかねないとしています。
しかし、論点2の「国」は、明らかに国民です。つまり、電気料金の値上げだけでは利用者は反発しかねないので、税金投入をせよと言うわけですが、税金もまた利用者の負担です。
「国がやるべき」「国が負担すべき」と言うと、あたかも国民とは別人格の「国」と言う存在があって、そちらが責任を負ってくれそうな錯覚を起こします。しかし、現実は「国=国民」なのです。
かつて、「退却」を「転進」と言い換えたり、今なお「戦車」を「特車」、「爆撃機」を「支援戦闘機」と言い換えたりしていますが、そういうことも含めて、都合の良いあるいは都合の悪い言い換えはもうやめにした方が良いように思います。
忙しい現代人にとって、こうした言い換えが誤った世論形成にならなければよいなと思うのです。