月別アーカイブ: 10月 2011

白子町の津波対策

300年以上前のことですが、九十九里浜を中心に当時は安房、上総と呼ばれていた千葉県は大きな津波被害を受けました。元禄地震による大津波でした。
白子町では1159人が亡くなったと言われております。その白子町に、総務防災委員の阿部俊昭議員と訪問し、地域の方々も交え、林和雄町長から防災対策の取り組みについて伺いました。
湾や河川は波状段波が襲ってきますので、白子の場合は南白亀川がやはり弱点です。元禄の際は、津波が4キロも遡ったとされています。
そのために、河川堤防のかさ上げも必要でしょうし、海岸林の整備も必要でしょう。住民への情報伝達や避難場所への誘導表示なども必要です。
ハード面、ソフト面の難問が山積する中で、一つの町が限られた予算で安全安心を確保することは容易ではありません。
県としてもできる限りの応援をしていかねばと思います。
町長は、今回の震災によって、参加率の悪かった防災訓練などへの参加が増えたといいます。
また、防災無線が鳴ると「うるさい」と苦情が来ていたのが、地震以降はぱったり無くなったといいます。
防災への関心が今ほど高まっているときはありません。そう前向きに捉えて施策の充実を図っていこうと思います。
★写真は、町役場からの帰りに白子の海岸へ立ち寄った時のものです。いつまでも平穏な海であることを祈るばかりです。

二つの想定外

東日本大震災で建設された仮設住宅の住環境について、岩手、宮城、福島3県の間で大きな格差があることが報じられました。
9月30日に開催された第2回『応急仮設住宅の居住環境等に関するプロジェクトチーム』での報告です。
3県で仮設住宅が建設されているのは50市町村です。
このうち、たとえば福島県では大半の仮設住宅に風除室が設置されているのに対して宮城県では1%だといいます。
断熱材についても岩手、福島が寒冷地対策として取り組んできたのに対して、宮城県では皆無だといいます。
本来、行政分野ではリードしてしかるべき宮城県の取り組みが遅れているのはなぜでしょうか?
それは平時の発想で対応しているからなのだと思います。
住民ニーズがどこにあるかをキャッチするのは、より現場に近いところです。すなわち県よりも市町村だということになります。そこで、宮城県では他の2県よりも市町村へまかせた部分が多かったのだといいます。
平時であれば、それは正しい発想なのですが、大震災を受けて市町村が著しく行政能力を低下させている現実にはそぐわなかったのです。
実はもう一つの誤算がありました。DMATです。
阪神淡路大震災の教訓を受け、大規模災害が発生した現場に48時間以内に駆けつける『災害派遣医療チーム』です。
石巻市では幸い山側に移転していた日赤病院は無傷でしたので、そこを災害医療の拠点に決めDMATが派遣されました。
しかし、阪神淡路大震災とまるで異なり、そこにはDMATを必要とするような急性期の多傷病者はいなかったのです。
今回の巨大津波による初期の医師の役割はほとんどが検死でした。「DMATの医師たちにも検死をしてもらわざるを得なかった」と現場の医師から伺いました。
災害をただただ悲しみの場としてとらえるのではなく、私たちは教訓を学び取らねばなりません。
大変書きにくい話で、ずっと書かずにおりました。しかし、やはりあえて書かせていただこうと思った次第です。

お茶をいただきました

娘の親孝行でしょうか、お茶会に招待していただきました。
大変お世話になっている先生のお茶室は住宅街にあるのですが、一歩門を入るとまるで別次元の世界でした。
妻はお茶事に一度参加しただけなのに、帰宅後物を大切にするようになったといいます。
お茶碗を洗っていても車を運転していても、何か大事にしようという気になっているといいます。
私も少しは大事にしてもらえるのでしょうか?
だとすれば、これは大変な親孝行ですね。
お茶というものの文化的な位置づけが少しわかったような気がしました。
最後に、先生のお茶室から見上げた朧月がいつもの月と違って見えました。

俳句結社『鴻』5周年

鴻5周年記念大会にお招きいただきました。
増成栗人先生のお人柄そのものの和やかな盛大な記念大会でした。
私は来賓などおこがましい若輩者ですので、せめて写真係のお手伝いをさせていただきました。
前回は鴻の忘年句会に参加させていただいて、拙句『まだ何か隠してゐたる枯蓮田』を取っていただくなど望外の喜びでした。
今回は、かねてより出版を楽しみにしていた『吉田鴻司全句集』が上梓され感激でした。

400ページ近い大部ですが、文庫本の大きさで常に持ち歩けるのがうれしいところです。
イラストレーションの後藤兼志氏はじめ編集作業に携わった方々のご苦労をかみしめながら常に持ち歩こうと思っています。
素晴らしい大会と素晴らしい御本をありがとうございました。

低血糖症治療の会

千葉市稲毛区のマリアクリニックにて、『低血糖症治療の会』の全体研修会に参加させていただきました。
正直なところ、低血糖症という病気についてほとんど何も知りませんでしたので、非常に勉強になりました。
私たちは糖尿病の検査をするときにOGTTという耐糖能精密検査をします。
ブドウ糖を投与して、血糖がどう変化するかという血糖曲線を診ます。
マリアクリニックの柏崎先生たちは、5時間のOGTT検査をしなければ、血糖の診断はできないのだとおっしゃいます。
実際、通常の2時間の検査では血糖曲線が正常を示していても、3時間以降に異常値が出る例が非常に多いとのこと。
血糖に異常があっても、通常検査で「異常なし」とされてしまうところが大きな問題です。
血糖を下げるホルモンはインスリンのみしかないのに対して、血糖を上げるホルモンはグルカゴン、カテコーラミン、コルチゾールなど幾つもあります。
つまり、人間の体は実は血糖を下げないような工夫がなされています。これは人類の長い歴史が飢餓との戦いだったことを意味します。
したがって、医学の常識として糖尿病は認知されていても、低血糖症は認知されていなかったわけです。
常識を変えるというのは非常に困難を伴います。長期的な取り組みを覚悟しなければならないと思いました。