二つの想定外

東日本大震災で建設された仮設住宅の住環境について、岩手、宮城、福島3県の間で大きな格差があることが報じられました。
9月30日に開催された第2回『応急仮設住宅の居住環境等に関するプロジェクトチーム』での報告です。
3県で仮設住宅が建設されているのは50市町村です。
このうち、たとえば福島県では大半の仮設住宅に風除室が設置されているのに対して宮城県では1%だといいます。
断熱材についても岩手、福島が寒冷地対策として取り組んできたのに対して、宮城県では皆無だといいます。
本来、行政分野ではリードしてしかるべき宮城県の取り組みが遅れているのはなぜでしょうか?
それは平時の発想で対応しているからなのだと思います。
住民ニーズがどこにあるかをキャッチするのは、より現場に近いところです。すなわち県よりも市町村だということになります。そこで、宮城県では他の2県よりも市町村へまかせた部分が多かったのだといいます。
平時であれば、それは正しい発想なのですが、大震災を受けて市町村が著しく行政能力を低下させている現実にはそぐわなかったのです。
実はもう一つの誤算がありました。DMATです。
阪神淡路大震災の教訓を受け、大規模災害が発生した現場に48時間以内に駆けつける『災害派遣医療チーム』です。
石巻市では幸い山側に移転していた日赤病院は無傷でしたので、そこを災害医療の拠点に決めDMATが派遣されました。
しかし、阪神淡路大震災とまるで異なり、そこにはDMATを必要とするような急性期の多傷病者はいなかったのです。
今回の巨大津波による初期の医師の役割はほとんどが検死でした。「DMATの医師たちにも検死をしてもらわざるを得なかった」と現場の医師から伺いました。
災害をただただ悲しみの場としてとらえるのではなく、私たちは教訓を学び取らねばなりません。
大変書きにくい話で、ずっと書かずにおりました。しかし、やはりあえて書かせていただこうと思った次第です。


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