放射能汚染水の放出

4月5日付・読売新聞朝刊の『低濃度汚染水 海へ放出』という記事は本当に驚いた。
なぜなら、記事には「4日午後7時過ぎ~(略)~低濃度の汚染水約1万1500トンの海への放出を始めた。」と書かれていたからだ。
「放出を始める」でも「放出する方針」でもなく、「放出を始めた」なのである。
いわゆる「海洋汚染防止条約」、通称「ロンドン条約」の批准は1980年10月のことである。
当時、参議院議員秘書として外務委員会を担当していた私にとっては思い出深い条約である。
低レベルの放射性廃棄物の海洋投棄について外務委員会や科学技術振興対策特別委員会では毎回激しいやり取りが続けられていた。
今回、新聞に報じられた記事内容は、そうした国会での議論がいとも簡単に吹っ飛んでしまう決定である。
ではどうすればよいのか?と言われても確かに選択肢はなかったのかもしれない。
しかし、少なくともこうした国際条約に触れてしまいかねない重大な決定をする以上、関係各国へはもちろん、同じ海を持つ茨城、千葉など関係各県には知らせてしかるべきであろう。
ましてや本県は漁業県であり、海水浴やサーフィンのメッカをもつ観光県である。
そこで、5月19日に開会された千葉県議会環境生活警察常任委員会において私は質問した。
「放射能汚染水の放出について、千葉県への事前のせめて通告はあったのでしょうか?」「ありません」
「放出後、本県に対して陳謝などがあったのでしょうか?」
「あったとは聞いておりません」
「是非厳重抗議をお願いしたい。」

漁業者の方々や観光業など海を生活の糧にしている人たちの怒りを決して忘れてはならないと思うのである。


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