民主党のように政治理念や政策が一致していない集団が団結することは至難の業である。
ちょっとしたことで瓦解しかねない民主党が、とりあえず政党たりえている最大の理由は当選可能性の高さにある。
これは悪口でも何でもなく、これまでの各種分析で言われている自明のことだろう。
たとえば、小選挙区の当選可能性の調査などでも、ずっと地元で地道に活動してきた既存の候補者よりも、まだ誰だとも決まっていない民主党候補者X氏の方が支持率が高いということがしばしばある。
実際、私の住む松戸でも何十年も消防団として、商店会の一員として地域活動を続けてきた自民党候補者を、告示直前に他市から引っ越してきた民主党女性候補があっさりと弾き飛ばしてしまった。
少なくとも有権者はこの女性がどういう人物かという理由で選んだのではなく民主党だという一点で投票したのだと思われる。
この当選可能性の高さがなければ民主党は雲散霧消してしまう危険性をはらんでいる。
そんなときに党首に就任した小沢一郎氏は確かに民主党をきっちり束ねた。恐るべき豪腕といえよう。
では、どのように団結させたのか?
第一に、政治理念をきっちり詰めないこと。
第二に、政策をきっちり詰めないこと。
この二点につきる。
言い換えれば、厳密に詰めてしまうと政治理念の違い、政策の違いが表面化してしまい、その溝はまず埋まらないので、この手法以外に選択の余地はなかったということだろう。
民主党が以前から掲げている政策の中に高速道路の無料化というのがある。
今回の民主党「生活・環境・未来のための緊急経済対策」(骨格)にはこう書かれている。
『首都高速、阪神高速を除く高速道路料金を、原則無料にする。これにより、生活コストを引き下げ、また地域活性化を促進する。』
この一文を読むと、なんとなく良さそうに思う。
しかし、ここで思い出さねばならないのは4年前の2005年10月に日本道路公団は6つの株式会社に分割され既に民営化されているのである。
そして東日本高速道路株式会社には2700人、中日本高速株式会社には2300人、西日本高速株式会社には2600人など民営化した会社には1万人を超える社員がいるのである。
高速道路を無料化するとはこれらの社員1万人をもう一度国家公務員に戻すというのであろうか?
もし公務員として再び雇用しなおすというのならそれは絶対に間違った政策だ と思う。
民意がそんなところにあるとは到底思えない。
「いや、そうではなく、道路維持費や高速料金相当分を税金で補てんする」と言うのなら、今度はわざわざ株式会社にした意味が無い。
このように政策の一つ一つを詰めた議論を真剣にしなければ、日本の将来は極めて危ういと言わざるを得ないのである。
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