日別アーカイブ: 2009年6月2日

チロリン村からひょうたん島へ

100年に一度かどうかは分からないが、金融危機に端を発した不況は世界中を席巻している。
デリバティブで重傷を負ったはずのアメリカよりも軽傷のはずのわが国が株式市場などで痛手を負っていることがしばしば指摘され、その分析が語られる。
エコノミストの解説は何が真実で何が虚構かまるで分からない。
ただ、こういう事態になると私はいつも思い出すことがある。
私が子どもの頃、大人たちはよく言っていた。「日本は5分の4が山地で、かつ資源のない国だ」と。
大人たちの言いたいことは、だから日本人は頑張らなければ生きていけず、人材を育てねばならないということだった。
つまり日本は他の(恵まれた)国とは違うということを繰り返し刷り込まれた。
日本人が、一般的に働くことをいとわず、みんなで力を合わせて頑張るという気質を持っているのは、おそらく資源の乏しさや食料生産基盤の乏しさに起因していたのだと思う。
そして言うまでもなく、努力と勤勉の結果として経済成長を遂げた現代日本にあっても「耕作適地が乏しく、資源がない」という基礎的条件は変わりようがない。
相変わらず資源、エネルギー、食糧は日本のネックなのだ。
したがって、これまで通りの豊かさを享受しようと思えば、われわれは「頑張る」という生き方をするしかないのである。
資源が豊かで耕作可能面積が広大な国と同じことをやっていては豊かさは実現できない。
だから今回の不況のように、世界中が一様に苦境に陥っているなかでわが国の脆弱さが出てしまっても不思議でもなんでもないと思うのである。
小学生のころ、NHKの番組で「ひょっこりひょうたん島」という人形劇があった。
そのなかで黒柳徹子の声の女性教師が登場して『勉強なさい?、勉強なさい?。大人は子どもに命令するよ、勉強なさい?』とわんわん歌うのである。
私はその歌を聴くたびに「無人島に流されてまで勉強か?!」と子ども心に思ったものである。
幼稚園児の頃の人形劇は「チロリン村とクルミの木」だった。
白黒の「チロリン村」の方がやっぱり幸せだったのかも知れないと懐かしむ今日この頃である。