月別アーカイブ: 2月 2009

恐るべし!メソ低気圧(第262回)

新潟地方気象台のN気象情報官に興味深い話を伺った。
昨年2月23日から24日にかけて、北日本の山岳地帯は大雪に見舞われ日本海沿岸部は異常な高波に襲われた。
そのときのどのような気象現象が起っていたか?についてである。
通常の冬型の気圧配置は言うまでもなく西高東低であり、等圧線は列島では縦になり強い北西の季節風が吹くというパターンである。
ところが、2008年2月23日から24日にかけての気象は通常とは異なった展開を見せたのだという。
先ず気圧である。
午前3時時点では日本海低気圧は1002hPaだったが、6時間後には992hPaとなり、さらに15時には984hPaにまで急激に下った。
12時間に18hPa下がるというもの凄い急激な発達である。そして、その後は21時まで気圧はほとんど上がることがなかった。
次にスピードである。
いくら低気圧が発達してもさっと通り抜けてくれればいいようなものだが、このときは西北西へ逆戻りするなどなかなか東に進んでくれなかった。
一般に低気圧の移動は上空の気圧の谷の動きに左右されるので、このときも上空の動きが遅く低気圧が進むよりもその場に止まってしまったと思われる。
そして、風は低気圧の周りを回るように吹くので長時間にわたって北ないし北東の風が吹き荒れることとなった。
最後に低気圧の立ち位置である。
通常の冬型ではオホーツク海や千島列島付近で発達するのだが、このときは東北や北海道に近い海域で発達した。
こうしたいくつもの従来型とは異なる低気圧の変化により、北日本や日本海側に大雪や高波をもたらされたというのである。
私が興味深く思ったのは、これが『メソスケール低気圧』だという点であった。
通常の前線を持つ低気圧の5分の1?10分の1の大きさ(気圧ではなく面積。一般的に前線を伴った低気圧は半径1000キロほど)でありながら、突風、暴風雪、高波、落雷など乱暴を働くものがいる。しかも、日本海側では意外と少なくない。これがメソスケール低気圧である。
同じような事例が2005年12月22日にあり、このときは新潟大停電をもたらした。
私たちの住む関東においては南岸低気圧が問題となるが、日本海と違ってメソスケール低気圧の発生確率は低いのが幸いだ。
しかし、災害に備える心構えはどこに住んでいても同じだと思いたい。

買い物嫌いの時代(第245回)

電話の調子が悪い。通話中にしばしば切れる。どうもこちらの声が聞こえなくなってしまうようだ。
そこで先日、NTTと回線を繋ぐ契約をした。出費は痛いが固定電話もまだまだ生活必需品なので仕方がない。
数日後、NTTから膨れ上がった封書が届いた。
開けてビックリ、書類の束である。
何やら口座引落しの書類、クレジットカードで払う書類、マイラインの申し込みなどなどのようだ。
私はひと目見ただけでうんざりした。
この大量の細かい字の書類を読んで、申込用紙に書くなど考えただけで気が遠くなる。
今は電話料金一つとっても、同じ通信会社を使っていてさえ通信の仕方の選び方で料金が違う。
たとえば自分の携帯電話でありながら、自分がどういう料金課金方式を選んでいるかを知らない。
ましてやどういう考え方でその課金方式を選んだのかも分からない。
選び方によって、同じ使い方・同じ利用時間でも料金が異なるのである。
考えてみれば、スーパーのチラシを見ても今日は「おっ母さんが安い」、昨日は「ビッグエーが安かった」など毎日毎日同じ商品でも金額がまるで違うのである。
さらに何とかファンドといった金融商品も証券会社や銀行が異なればこれまた値段が違うらしい。
つまりは現代日本には一物一価の法則は通用せず、これから先ますます通用しない社会になっていくことが予想されるのである。
私は買い物が嫌いである。自分で買うものと言ったら90%が書物で、残り10%が文具だろう。
だいたい、服を買いに行くと一分一秒でも早く店を出たいものだから、ぱっと取ってぱっとレジへ行ってぱっと買って、必ず袖が長すぎるか短かすぎるのである。
そんな私が一物一価でないところへ放り込まれればますます買い物嫌いになるのは間違いない。

日本列島に住む者の常識(第244回)

浅間山の噴火はレベル3が継続している。
日本列島に住む者の常識として、われわれは火山の噴火にも立ち会うだろうし、やがて深刻な地震にも立ち会うだろう覚悟している。
私たちの住む南関東と言う地域に絞ってみても、この300年の間に1703年の元禄地震、1923年の関東大震災とマグニチュード8クラスの巨大地震に2度も襲われている。
これがマグニチュード6クラス以上となればそれこそ数え切れない。
文部科学省地震調査研究推進本部が本年1月1日に発表した最新の「海溝型地震の長期評価」によれば、30年以内にマグニチュード7.5前後の地震が宮城県沖で発生する確率は99%であり、三陸沖では90%である。
マグニチュード6.8程度という括りで見ると茨城県沖で発生する確率は90%である。
列島に住む者はある意味で地震や噴火に慣れっこになってしまっているのかもしれないが、もしそうした事態に立ち会ったときに誰しもが「とうとう来たか!」と思う程度に覚悟はしている。
これが特にヨーロッパの人々と決定的に異なるメンタリティーである。
したがって、温暖化対策も重要なのだが、それに数兆円もの予算をかけるのであれば、近い将来確実に襲ってくる地震対策に使うことが「選択と順位」というものだろう。
地震が陸側ではなく海側で起ればさらに津波という脅威もある。
わが千葉県の外房は地形的にもなかなか逃げ場がない。
地震による被害想定はあまりにも多くの犠牲者をはじき出している。
そうしたさまざまな災害がある中で二酸化炭素の削減ははたして優先順位が高いものなのか低いものなのか。
ましてや排出権の売買によって莫大な金が負け組みから勝ち組へ巻き上げられるという仕組みはまるでゲームの世界のようだ。
しかも地球全体の二酸化炭素の排出量はまるで変らないのだから、悪い冗談のように思えてならない。
優先順位を決めるキーワードはやはり守るべき『生命』と『財産』だろうと思うのである。

成田新高速が開通すると(第243回)

去る1月22日に『北総鉄道運賃問題に関する副市長等会議』が開かれ、最終的に以下の2点の確認をみた。
?北総鉄道の収支推計に関する説明を会社に求める。
?本日の副市長等会議を受けて、課長会議で案を作っていく。
北総鉄道の損益計算書をみると大体30億円前後は稼いでいる。
しかし、その一方で鉄道機構への債務償還額が57億5000万円前後である。
これでは、この先どうしようと言うのか、将来の推計を見て行かねばならないだろう。
さて、ここへ来て成田新高速鉄道の開通が見えてきた。(計画では平成22年度完成予定)
現在、京成電鉄のスカイライナーは成田空港と京成上野間を最短51分で結んでいるが、新高速鉄道では最短で36分となる。
そして、そのルートが京成高砂までは北総線上を走ると言うのである。
すると、少なくとも成田新高速鉄道の普通運賃と北総鉄道の運賃とが同一でないとならないのは道理であろう。
同じ線上を走るのに、北総線に乗れば運賃が高いと言うのでは理屈に合わない。
そこで、この新高速鉄道乗り入れをチャンスにして北総鉄道の運賃を値下げしたいと言うのが沿線住民の声である。
ここで問題は、沿線住民の声と沿線外住民の声が異なる場合である。
どういう形にせよ仮に税金の投入となれば、これはすぐれて政治問題となる。
副市長等会議の確認事項は『課長会議で案を作っていく』というものであるから、副市長から下へ降ろすわけである。
これでは政治問題は解決できないだろう。
現時点では課長会議でつくられる案がどういうものか分からないが、どういう結論が出せるのか私には非常に心もとないのである。