新潟地方気象台のN気象情報官に興味深い話を伺った。
昨年2月23日から24日にかけて、北日本の山岳地帯は大雪に見舞われ日本海沿岸部は異常な高波に襲われた。
そのときのどのような気象現象が起っていたか?についてである。
通常の冬型の気圧配置は言うまでもなく西高東低であり、等圧線は列島では縦になり強い北西の季節風が吹くというパターンである。
ところが、2008年2月23日から24日にかけての気象は通常とは異なった展開を見せたのだという。
先ず気圧である。
午前3時時点では日本海低気圧は1002hPaだったが、6時間後には992hPaとなり、さらに15時には984hPaにまで急激に下った。
12時間に18hPa下がるというもの凄い急激な発達である。そして、その後は21時まで気圧はほとんど上がることがなかった。
次にスピードである。
いくら低気圧が発達してもさっと通り抜けてくれればいいようなものだが、このときは西北西へ逆戻りするなどなかなか東に進んでくれなかった。
一般に低気圧の移動は上空の気圧の谷の動きに左右されるので、このときも上空の動きが遅く低気圧が進むよりもその場に止まってしまったと思われる。
そして、風は低気圧の周りを回るように吹くので長時間にわたって北ないし北東の風が吹き荒れることとなった。
最後に低気圧の立ち位置である。
通常の冬型ではオホーツク海や千島列島付近で発達するのだが、このときは東北や北海道に近い海域で発達した。
こうしたいくつもの従来型とは異なる低気圧の変化により、北日本や日本海側に大雪や高波をもたらされたというのである。
私が興味深く思ったのは、これが『メソスケール低気圧』だという点であった。
通常の前線を持つ低気圧の5分の1?10分の1の大きさ(気圧ではなく面積。一般的に前線を伴った低気圧は半径1000キロほど)でありながら、突風、暴風雪、高波、落雷など乱暴を働くものがいる。しかも、日本海側では意外と少なくない。これがメソスケール低気圧である。
同じような事例が2005年12月22日にあり、このときは新潟大停電をもたらした。
私たちの住む関東においては南岸低気圧が問題となるが、日本海と違ってメソスケール低気圧の発生確率は低いのが幸いだ。
しかし、災害に備える心構えはどこに住んでいても同じだと思いたい。
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