月別アーカイブ: 3月 2013

旭市の津波対策

2011年3月11日14時46分頃、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の巨大地震は、旭市においても津波による大きな被害をもたらしました。
これまでの海岸防護の考え方は、浸食、高波、高潮に対する施設整備でしたが、これからは防護施設の高さの見直しを余儀なくされます。
今日は、そうした防護施設の中で普通河川の整備についての視察をおこないました。
地域の雨水の排水や生活排水の役割を持つ普通河川については、市町村が管理者となります。これら普通河川も当然津波による被害は受けますので整備が必要です。ところが、普通河川については国による補助事業がありません。すなわち市町村が単独で行うしかありません。
普通河川の整備を自治体が単独で行うことは極めて困難であり、国による財政支援制度や対策に関する法整備が欠かせません。これを何とか実現したいと言う観点から視察を行いました。
また、帰りには旭市の事業ですが、建設途中の津波避難タワーの見学もさせていただきました。旭市や千葉県の関係者の皆様に心から感謝いたします。

『危ない橋を渡っている』その後

県政報告会などで『危ない橋を渡っている』という話をしてきました。
千葉県内には損傷の激しい橋梁が458橋あって、そのうち特に損傷が著しい68橋に対して早急に長寿命化対策を行うことを要望しているという話です。
そして結果として、この68橋については、本年度中すなわち平成25年3月31日には補強が終わりますので大丈夫ですということを述べてきました。
そうした報告をした以上、その後どうなったかをお知らせする責務がありますので、本日・3月13日現在の工事状況を調査してきました。
写真は、北小金駅近くの平賀橋です。すでに補強改修工事が行われていました。
さて、調べてみますとほとんどの橋が既に工事が完了していたり、予定通り今年度中に完了予定です。
ところが、工事には入っているものの、完了は来年度へ持ち越さざるを得ない橋が幾つかあることも分かりました。
たとえば、南総地域の16橋のうち袖ケ浦市の代宿跨線橋です。外房地域の17橋では勝浦大橋(勝浦市)と浅間橋(御宿町)、東総地域の13橋では名洗橋(銚子市)という具合にわずかですが、鉄道をまたぐ跨線橋に工事の遅れが見えます。
ではわが松戸市はどうでしょうか?
松戸市の危ない橋は二つとも跨線橋です。そして、果たして新居浜跨線橋も平賀橋も4月以降にずれ込むことが濃厚のようです。大丈夫ですと言った手前、本当に申し訳ありません。
もちろん、補強工事の遅れによって何か事故が起こるというものではありませんが、直下型地震はいつ来るかわかりません。一日も早い工事完了を求めてまいりたいと思います。

市川市が交付団体になった意味

3月7日の朝刊各紙は、市川市が交付団体になったことを報じました。
日経新聞の見出しは『市川市、交付団体に転落』というものです。
地方公共団体には、国から地方交付税を交付してもらう団体と財政力が豊かなので交付してもらう必要のない団体とがあります。
市川市は今まで地方交付税を受け取っていなかったのですが、それが2012年度に受け取る側になったというわけです。
各紙の記事には、さらに二つの情報が示されていました。
一つは、県内の不交付団体が、成田市、市原市、浦安市、袖ヶ浦市の4団体となったこと。
二つには、県内で地方交付税額の多い団体が、南房総市99億円、旭市83億円、香取市82億円、千葉市74億円、松戸市71億円だということ。
記事を見ると、成田市などの4市が豊かな市、南房総市など5市が豊かではない市というイメージになります。
しかも、千葉日報の記事には、交付税が多い5市のうち、千葉市と松戸市以外は合併団体だという注釈まであり、いかにも千葉市と松戸市が貧しい市という印象を与えます。
松戸市民の名誉にかけて、ここは正確な認識を示しておかなければならないと思いました。
地方が行うサービスは基本的に国が決めています。したがって、そのサービスを実施する以上、国はその財源をきちんと地方公共団体に与えなければなりません。
一方、地方公共団体は地理的条件や人口構成などでその財政力はまちまちです。東京都という首都は豊かでしょうし、地方は比較的豊かではないということは直感的にわかると思います。
そこで、国はそれぞれの市町村に対して、できるだけ客観的な収入と支出を計算して、収入に対して支出が多ければその差額を『交付税』という形で交付するのです。
千葉市や松戸市は、その基準に照らして歳出が多くなってしまうので国が交付税を出し、成田市などは基準に照らして歳入が多いという計算になるので交付しないという話です。
つまり国の基準によって交付・不交付が決まるのであって、それを『交付団体に転落』といういい方はちょっといかがなものかという気がします。
この言い方が許されるのは市川市民自らが発言する場合であって、それも苦笑まじりに言うセリフという気がします。

賛成ゼロの「交付税カット」

今日の千葉日報1面トップ記事は、給与減前提の交付税カットに対して『知事、政令市長8割が反対』という共同通信のアンケート結果でした。
この見出しを見たときに、思わず「2割は賛成なのか?」とちょっと驚きました。しかし、記事を読んでみると、反対以外の意見は、「どちらとも言えない」「その他」が11人であり、さすがに『賛成』はゼロでしたので、納得した次第です。
都道府県知事は、47人中41人が『国の手法、厳しく批判』としています。ところが、奈良、島根、山口、福岡県の4知事は「どちらとも言えない」と回答しています。
ちなみに、千葉日報は福岡県知事の「国の要請は重く受け止めざるを得ないが、職員の生活にかかわる問題で悩んでいる」という発言を紹介しています。
私には、申し訳ありませんが、この福岡県知事の『国の要請を重く受け止めている』という点にも『職員の生活にかかわる』から『悩んでいる』という考え方にも共鳴できません。
それは、私が今さら言うまでもなく、今回の交付税カットは、そういうことを問題としているのではないからです。
多くの知事が批判しているのは、「国と地方の信頼関係を土台から壊す」「地方が主体的に決める原則に反している」「地方分権に逆行する」という国と地方の在り方の観点から反対しているのであって、給与削減の賛否に矮小化された問題ではありません。地方行政にまじめに携わっている人なら誰でもわかっていることです。
これに対して『どちらとも言えない』と答えた4知事は、地方ではなく国の立場に立っています。地方分権よりも今回の国の要請の方を重く受け止めているのですから。
もしかしたら、地方分権を犠牲にしても国家(財政?)を考えるべきというご意見なのかもしれません。それも一つの識見かも知れません。
ネットで調べてみると、4人の知事は運輸省、建設省、大蔵省、通産省と、いずれも官僚出身者でした。これを偶然の一致とみるべきなのかどうか、私には何とも言えません。