日別アーカイブ: 2013年3月8日

市川市が交付団体になった意味

3月7日の朝刊各紙は、市川市が交付団体になったことを報じました。
日経新聞の見出しは『市川市、交付団体に転落』というものです。
地方公共団体には、国から地方交付税を交付してもらう団体と財政力が豊かなので交付してもらう必要のない団体とがあります。
市川市は今まで地方交付税を受け取っていなかったのですが、それが2012年度に受け取る側になったというわけです。
各紙の記事には、さらに二つの情報が示されていました。
一つは、県内の不交付団体が、成田市、市原市、浦安市、袖ヶ浦市の4団体となったこと。
二つには、県内で地方交付税額の多い団体が、南房総市99億円、旭市83億円、香取市82億円、千葉市74億円、松戸市71億円だということ。
記事を見ると、成田市などの4市が豊かな市、南房総市など5市が豊かではない市というイメージになります。
しかも、千葉日報の記事には、交付税が多い5市のうち、千葉市と松戸市以外は合併団体だという注釈まであり、いかにも千葉市と松戸市が貧しい市という印象を与えます。
松戸市民の名誉にかけて、ここは正確な認識を示しておかなければならないと思いました。
地方が行うサービスは基本的に国が決めています。したがって、そのサービスを実施する以上、国はその財源をきちんと地方公共団体に与えなければなりません。
一方、地方公共団体は地理的条件や人口構成などでその財政力はまちまちです。東京都という首都は豊かでしょうし、地方は比較的豊かではないということは直感的にわかると思います。
そこで、国はそれぞれの市町村に対して、できるだけ客観的な収入と支出を計算して、収入に対して支出が多ければその差額を『交付税』という形で交付するのです。
千葉市や松戸市は、その基準に照らして歳出が多くなってしまうので国が交付税を出し、成田市などは基準に照らして歳入が多いという計算になるので交付しないという話です。
つまり国の基準によって交付・不交付が決まるのであって、それを『交付団体に転落』といういい方はちょっといかがなものかという気がします。
この言い方が許されるのは市川市民自らが発言する場合であって、それも苦笑まじりに言うセリフという気がします。