今朝の毎日新聞は、厚生労働省が企業年金の減額要件見直しの検討を始めたことを伝えています。
記事には『213基金は厚生年金の給付に必要な積立金もない「代行割れ」に陥っている』とあります。
こうした厚生年金の代行が問題になったのは、私の記憶では10年以上前のことだったと思います。代行返上するのに株式や債券を現金化するのかどうかで大騒ぎした記憶が残っています。
会計規則が変わったために、年金の運用如何が企業業績を左右するという本末転倒が起こり、資金に余裕のある企業年金ほど代行返上をしました。この段階で中小年金基金が取り残されました。
素人感覚では、運用見通しの水準を下げれば良いとも思いますが、仮に5.5%と言う数字はフィクションの数字だったとしても、これを実現しないと年金給付と言う約束が維持できません。現実にどれだけ運用しているかどうかではなく、そういう取り決めになっていているので、この水準を下げるとその分企業が穴埋めをしなければなりません。
そして、中小ほど代行返上ができずに取り残されてしまったために、現実の数字とのギャップが拡大してしまってにっちもさっちもいかなくなってしまったわけです。
さて、AIJ問題に端を発するこうした一連の流れを見ていると、二つのことが明確にわかります。
第一に、年金のように人の一生をはるかに超えるような長期間の運用をしなければならない制度については、やはり民間会社が運営するのは無理だということです。
ここから派生することですが、第二に、結局のところ運用が好成績の時期とうまくいかない時期が生じるわけですから、年金支給額の公平性を維持するためには年金の『積立方式』はあり得ないということです。
この問題をどう決着をつけるかがまた大きな問題です。
年金代行によるうま味を享受していた時期があり、享受していた誰かがいたのです。ここにモラルハザードという壁が立ちふさがります。
決着のつけ方によっては、政府はまた大きく信頼を損ねることでしょう。
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