日別アーカイブ: 2011年3月1日

富山県警山岳救助隊の遭難(第502回)

「ふじいの独り言」第502回
ときどき冬山に登る私こそ、この問題について書かねばならないと思う。
山岳救助隊も各県それぞれあるが、何と言っても実力ナンバー1は富山県警である。
他の追随を許さない強力な組織である。
それでも剣岳北方の遭難場所が報じられたときの私の率直な感想はあんな難しいところで訓練をしているのか!という驚きだった。
そして、そうでなければあれほどの技術水準は保てないだろうとも思った。
私の未熟な経験でも室堂まで骨折者の救助作業に当たったことがある。
それは6月の出来事であったにもかかわらず、何と吹雪の中の搬出であった。
今回の遭難は2月である。普通の登山者では入山するのも困難の極みであろう。
したがって、冬季の剣周辺へ入山する登山者は相当の技量をもっていなくてはならない。
そのレベルの登山者が遭難した時に出動する救助隊は当然それ以上の力を保持していなければならない道理である。
だから、無雪期でさえ容易ではない所で救助訓練をせざるを得ないのである。
ニュースを見ていて胸が痛むのは遭難された隊員にも家族がいるだろうことだ。
任務とは言え、何と過酷な事故であることかと思う。
自分自身が冬山に登ることを棚にあげてこういうことを書いていることに複雑な思いがある。
私などは好きで勝手に登っていて、救助隊員は使命感で登っているのだ。
絶対に遭難しない、救助隊の手を煩わせないと厳重に自らを戒めるのみである。
遭難された隊員が一刻も早く救助され、再び元気に活躍できることを心から祈りたい。

医師の行方不明問題・4つの仮説(第501回)

「ふじいの独り言」第507回
昨年夏は高齢者の行方不明問題が社会を揺さぶった。
各自治体が総出で高齢者を訪ね歩いて、ようやくおさまった感がある。
しかし、ここ数年ずっと言われ続けている医師不足問題はどうなったのであろうか。
果たして解決に向かっているのだろうか?
物事には原因と結果がある。
原因の分析を誤るといくら対策を打っても解決しないどころか、事態を一層深刻にする場合すらある。
医師不足の原因は究明されたのであろうか?
千葉県病院局長によると実は医師は増えているのだという。
増えているデータを見せていただいたことがある。
医師が増えていることは間違いない。
医師の絶対数は増えており、しかも医学部定員も間違いなく増員しているのでこれからも増え続ける。
にもかかわらず医師が不足しているということは、偏在しているということになる。一体どこに?
これが表題の医師の行方不明問題である。
まるでミステリーのようだが、仮説として4つの偏在が考えられる。
第一に、地域的な偏在である。
「都市部に多くて地方に少ない」ということが考えられる。
第二に、診療科における偏在である。
「形成外科や眼科が多くて産科や小児科が少ない」ということがあるだろう。
第三に、勤務形態の問題がある。
これは都市部に限ったことかもしれないが、「開業医が多くて勤務医が少ない」ということがあるだろう。
第四に、時間的な偏在である。
「昼に多くて夜に少ない」ということはあるだろう。
誰だって、夜遅くまで働きたいとは思わない。
これら4つの仮説に対して、現在の対策はちゃんと対応しているのだろうか?
たとえば時間的な偏在を解消するためには、夜間の診療報酬を相応にあげなければならないだろう。
ただただ医師の数だけ増やせばよいという発想では絶対に解決しないことだけは確かである。