日別アーカイブ: 2010年4月18日

アイスランドの噴火(第360回)

本HPで繰り返し書いてきたことではあるが、火山の噴火は恐ろしい。ある意味では地震よりも。
それは、いつ終わるかと言うことがまったく分からないことに起因する。
人的損失も経済的損失もまるで見通せない。
終わりが分からない、先が見通せないという困難に対して立ち向かわねばならないのだ。
三宅島の島民の方々の困難さはいかばかりかと思う。
また、噴火による直接的被害がなかったとしても、火山灰による健康被害、農作物被害、現代社会を支えるインフラ関連による経済的損失が徐々に拡大する懸念がある。
そんな噴火がアイスランド南部のエイヤフィヤトラヨークトル氷河で4月14日に起こったのである。
英国のHPにより噴煙の広がりを推定すると、まずアイスランドから東部へ進み、ノルウェーとスウェーデンの国境にあたるスカンジナビア山脈にぶつかる。
ここで、そのまま山脈を越えた噴煙と越えられずに南のオスロ方面への流れとに分かれる。
東へ進んだ噴煙は、北はノバヤゼムリア島から南はモスクワへと広がっていった。
東ヨーロッパ平原でもあり、東部にはウラル山脈があるが噴煙をさえぎるほどの高さはない。
一方、南へ流れた噴煙は、西に戻り、ベルリン、アムステルダム、パリ、ロンドンへと広がった。
英国のHPにより1万フィートの高さでの噴煙の拡大状況を見ると、すでに英国の半分以上を包み込んでいる。
大陸側はフランスのボルドーからトルコのイスタンブールのやや北側を結んだ線の南側を除いてほぼ包まれている。
過去に例があるように、火山灰は数年かけて地球全体をめぐることも珍しくない。
つまり、たとえ地球の反対側のわが国であっても、たとえば農作物等の被害についてもしっかりと対策を講じておかねばならないのだ。
ましてや、こうした噴火が現代先進国にどのような影響を及ぼすか、実際には誰も経験したことがない。
コンピューター化された社会がどれほど脆弱かについては予断を許さないのである。
続・アイスランドの噴火
火山被害とは関係なく、二つ気になることがある。
一つは軍事上の問題である。
仮に火山灰の影響が多大だとするとNATOとロシアの関係はどうなるのだろうか?
1991年にワルシャワ条約機構は解散したが、2008年にプーチンはウクライナがNATOに加盟する状況になればロシアはウクライナと戦争する(攻撃するだったか?)用意があると語ったはずだ。
冷戦時代ならこの噴火によってNATOもワルシャワ条約機構も軍備配置に著しく困難をきたしただろう。
現在は、ドイツ国内の米軍基地などがどのようになっているか分からないが、今回のアイスランドの噴火は結果としてNATOとロシアに軍備縮小をもたらすかもしれない。
実際に、たとえばフィリピンでは火山の噴火によって米軍基地が使用不能となり移転せざるを得なかったことがある。
もう一つはトルコのEU加盟問題である。
EUはあくまでトルコを加盟させたくない。しかし、トルコが火山の被害を免れ、EUが相当の被害を受けたとするとトルコの経済力は相対的に無視し得ないレベルとなる。
このような具合に、火山の影響はいろいろ考え出すときりがないのである。