日別アーカイブ: 2010年1月29日

雇用関係数値の見方(第344回)

今日の読売新聞夕刊は、『求人倍率 09年0.47倍』として統計を取り始めた1963年以降で過去最悪だったことを報じている。
総務省の発表によれば、特に7月、8月は最悪で0.42倍であり、また平均完全失業率も5.1%と2003年以来の5%台だった。
非常に厳しい雇用情勢が読み手に伝わってくる記事だ。
ただ、その中で若干違和感を覚える部分もあった。
以下のピンク色の記述である。
『その結果、過去最悪だった1999年の0.48倍より悪化した。
09年の平均失業率は、08年の4%台から1.1ポイント上昇した。
一方、09年12月の有効求人倍率(季節調整値)は0.46倍で、11月より0.01ポイント上昇し、4ヶ月連続で改善した。同月の完全失業率(同)も5.1%と0.1ポイント改善した。
上記の記述はおそらく厚生労働省の資料からの引用だろう。
ここでまず注意しておかなければならないことは、有効求人倍率とは「公共職業安定所で職を探している人1人あたりに何件の求人があるか」というデータだということである。
つまり、ハローワーク以外の民間の就職ショップや求人広告を見て職を探している人はここではカウントされない。
つまり、実態から離れているとは言わないがずれていることは念頭におかねばならない。
そのうえで、たとえば船橋にあるジョブ・カフェなどに訪れる人を月ごとに追っていくと毎年12月だけはがくんとが減るのである。
つまり求人の方は変化があまりないのに、求職数は減る。
したがって、12月がやや持ち直したからといって安心するにはほど遠い。
統計は1年であるとか四半期であるとか人為的な期間を定めた形でのデータ解析を行う。
実際、時間に切れ目はないのであるが人為的に切ってしまう。
同じデータでも期限の切り方を替えればまるで違うものが見えたりする。
1月で切れば、またがくんと求職者が跳ね上がるかもしれない。