月別アーカイブ: 10月 2009

今朝の注目記事(ダムと富士山)(第319回)

今朝の注目記事はなんと言っても読売新聞の報じた『「八ツ場」中止請願 民主系会派が反対』だ。
県民から出された八ツ場ダム建設中止を求める請願に埼玉県議会の民主党・無所属の会の19名の県議が反対したのである。
それはそうだろうと思う。
埼玉県は八ツ場ダムがあるという想定の元で設定された水利権を30%以上すでに使っているのである。千葉県の約5倍である。
これが無くなれば夏の渇水期には大きな影響が出かねない。
県民生活に責任を持つという立場からは簡単に「八ツ場ダム反対」とは言えるはずが無い。
ダムの問題は公共事業一般に言えるように談合の問題や建設を請け負った企業等への天下りの問題やあるいは何かのリベートのような問題があるのかもしれない。
それらあってはならないこと、望ましくないことを徹底的にただすのは当然であるが、その一方でダムの必要性については冷静に判断しなければならない。
建設が継続であれ中止であれダム周辺住民の生活支援をどうするかという問題はあるし、継続したとき中止したときのメリット、デメリットは正確に検証されなければならない。
さて、毎日新聞には『余野川ダム建設費 箕面市長が返還求める』という記事があった。
これは建設が中止となったダムについて利水者として負担した約11億円を箕面市長が前原国土交通相に返還を求めたというのである。
つまりダム建設を中止した場合もそれでコストがストップするわけではなく、それ相応の負担が我々の税金で支払われるという先行例である。
こういうダムが全国にあとどのくらいあるのか?
140以上というオーダーだとなるとそのコストは膨大だ。
民主党はいきなり中止を決める前に、必ずコストの全貌を明らかにすべきである。
コストを支払うのは民主党ではなく国民なのだ。
この毎日新聞は記事のなかで『ダム事業中止に伴う負担金返還を求めるのは異例』だとして、暗に民主党が中止しても返還を求めるなという書きぶりなのが気になる。
むしろ、仮に返還を求めない首長がいたとしたらそのほうが責められるべきであろう。
最後に、もう一つ注目記事がある。
『富士山で地殻変動』というもの。
一般的に火山災害は一国にとってさえ大変深刻な影響を与える。
まして富士山が本格的に噴火したとすれば、それは生半可な地震の比ではない。
第166回の独り言で富士山の噴火について触れたことがある。
宝永噴火300年 である。
富士山など火山記事にわれわれはもっと重大な関心を持たなければならないと思うのである。

文化の日は松戸市文化祭で(第318回)

今年も11月3日の松戸市文化祭俳句大会の日が巡ってくる。
過日、松戸市から俳句大会を請け負う(?)松戸市俳句連盟の打合せが行われた。
私の役割は大会に必要な各種用紙類(投句用短冊や選句用紙など)を用意することと清記係、点数付け係である。
この大会は、参加者が11月・晩秋の俳句3句を持ち寄り、参加者全員で選をすることになっている。
巨大なロの字型に机が並べられ、100名前後の人たちが一斉に俳句を選する様は壮観である。
単純な私には、その光景を見ているだけで日本という国は文化国家だなあと思えてしまう。
11月3日(火)11時受付・12時半締切
松戸市文化会館・森のホール4階・レセプションホール
会費1000円
どなたでも参加できます。

今年はどんな句にめぐり合えるだろうか?

野中広務・辛淑玉の対談「差別と日本人」から(第317回)

角川ONEテーマ21新書の表題の対談集を読んだ。
正直なところ、神奈川に生まれ千葉や東京で育ってきた私には、「部落」や「朝鮮」の人たちというのは縁が薄い。
高校の修学旅行で四国へ行った際、ある町役場に『部落差別をやめよう』というような意味の垂れ幕がかかっているのをバスの車窓から見かけた。
そのとき初めて「部落差別って何だろう?」と思ったのだった。
さて、「差別と日本人」のなかに紹介したい箇所がある。
熊本地裁で勝訴したハンセン病回復者の訴訟団が、国が控訴しないように首相官邸前に詰め掛けたときの話である。
もちろん彼らは官邸の中に入れてもらえない。
そこにたまたま野中氏が通りかかるのである。
野中氏は、すぐに訴訟団を官邸入口の応接室に入れて話を聞き一人ひとりと握手をして励ました。
そのとき、彼らから控訴をしないように要請されたのだが・・・
『「僕のところに来たって解決しない。あんな小泉みたいな変った奴がおるんだからね。これは策を弄さなあかんということで、公明党の坂口力さん(小泉内閣の厚生労働大臣)に会う段取りを付けたんだ。坂口さんは非常に良心的な方だからね。そこでこう言ったんだ。「公明党の代議士で、医者をしている福島豊というのが厚生労働を専門にやっている。彼は良心的だから、彼をこれからここへ来さすから、福島と一緒に坂口さんのとこへ行ってほしい。まず坂口さんに話をして、坂口さんから総理に意見を上げてもらおうじゃないか。そうでもしないと、反小泉の僕が関係しているのがわかったら、小泉は反対するよ」』
国が控訴を断念した裏にはこういうことがあったのかと私は初めて知った。
良心的と評された福島豊氏が民主党候補者に敗れたのは残念でならない。
さて、この話にはもう一段の奥がある。
これでハンセン病回復者の思いは叶ったが、実は「在日」の人は含まれていなかったのだという。
国内の差別が解決してもつねに「在日」の人たちは忘れ去られているのだという。
このことも私は初めて知った。

3分の2の議決規定は修正すべき(第316回)

2005年3月16日に書いた「アメリカ憲法」(ふじいの独り言 第60回)は訂正します。
議会において3分の2の議決を要するものはそもそもイレギュラーなのだという趣旨の独り言でした。
ところが、過去2回の衆議院総選挙を見ていると、自民圧勝から民主圧勝へと議席数はあまりにも極端から極端に振れます。
どうやら小選挙区制のような死票の多い制度を採用している国においては3分の2の議決というのはあまり珍しくないことがわかりました。
つまり、選挙制度の変更によってこうした議会内の規則は適宜修正すべきだという至極当たり前のことに気がつきます。
改定の方向は、3分の2の議決を要する事項を4分の3にする、5分の4にするという単純な規定変更で済むはずです。
これをきっちりしておかないとまさに多数党の横暴を生むのが小選挙区制という制度だと認識しなければなりません。