月別アーカイブ: 3月 2009

始動!バイオディーゼル車(第265回)

松戸市の環境問題に対する取り組みの一つにバイオディーゼル燃料による車両運行がある。
このほど松戸テクノ協同組合、戸田建設、松戸商工会議所、自治会500世帯の協力により試運転と言う大きな一歩を踏み出した。
戸田建設稔台工作所ではトラック、同社北松戸工作所ではフォークリフトの試運転を行い見事成功した。
これまで松戸花火大会の照明にバイオディーゼル燃料を使ったり、原料となる廃食油を学校給食や町会の人たちから集めてきた。
多くの関係各位のご努力に頭の下る思いである。
あとは東北大学で行なっているイオン交換樹脂処理方式が軌道に乗れば万々歳である。
過日、千葉県のかずさアカデミアパークに本田技研研究所の進出が決まり、そこではセルロースのアルコール燃料化の研究が行われると言う。
これが成功すれば、たとえば米を作り、食べられない藁の部分が燃料となるという画期的な技術となる。
戸田建設にしても本田技研にしても広く社会貢献を行なう企業が勝ち残ってほしい。
またそういう視点で企業の社会性をわれわれは見ていかねばと思う。
希望の光がますます太く明るくなるよう心から期待したい。

食料自給率の誤解(第264回)

食料自給率の議論をしていて、議論がかみ合わないことがあった。
誤った知識がテレビ等のキャスター?から流れているようで、それを聴いた人が誤解してしまっているのである。
第一に、「日本人は食べ残しが多い。食べ残しを無くせば自給率は上る」というもの。
これは間違いである。
自給率は、実際にわれわれが食べた量だけではなく、残して廃棄された量もちゃんと計算に入っている。(食べ残しが良くないことは言うまでもない)
第二に、家畜や卵などの自給率の計算方法が理解されていない。
輸入飼料についても、実は自給率にちゃんと加味されている。
たとえば鶏卵は100%が国内産なのだが、飼料(たとえばトウモロコシ)の9割が輸入されていて国内産飼料は1割しかないので、鶏卵の自給率は10%と計算されている。
第三に、諸外国との比較において日本の自給率があまりにも低いと指摘されるのだが、その際一人当たりの耕地面積についてはまるで触れられていない。
わが国の一人当たり耕地面積はわずか3.7アールだ。
これに対して、アメリカは40倍近くあり、オーストラリアは600倍だ。イギリスでさえ8倍はある。
日本は基本的に山国であり、わずかな平野部にびっしり居住しているということを忘れてはしまいか?
もちろん、だからと言って自給率を上げなくともよいと言うことではなく、こうした当たり前のことを承知した上で自給率向上の議論をしなければ堂々巡りの議論になってしまうだろう。

ハザードマップの話(第263回)

独立行政法人・防災科学技術研究所で開催された次世代ハザードマップに関する研究集会は非常に興味深かった。
今まで私が考えていたハザードマップについての認識は良くも悪くも相当変ってしまった。
ハザードマップと言うのは、災害予測図、危険範囲図とも呼ばれ、ある条件のもとで災害を想定し、その影響の範囲や被害の程度を地図として示したものである。(国土交通省国土技術研究所・小山内氏の講演より)
火山のハザードマップを例に取れば、過去の噴火の状況からコンピュータによりシミュレートして、「こういう噴火の場合はこういう被害が出る」という予測をする。
しかし、シミュレーションである以上もちろん現実とは異なる。
たとえば、溶岩の流れは溶岩が熱いほど速く、冷えてくれば流れるスピードが落ちる。
では溶岩の熱の冷え方は一様かといえば、そんなことはない。
実際にはさまざまな条件により、溶岩の温度はなかなか低くならなかったり、逆に急に落ちたりするのだろう。
しかし、コンピュータによるシミュレーションでは一定の速さで温度が冷えるというモデルを使わざるを得ない。(砂防・地すべり技術センター・安養寺氏)
また、気象庁は2008年3月31日から降灰予報を開始したが、降灰域は大体予報通りとなるが、降灰量はなかなか当たらない。(気象庁・新堀氏)
これも降灰時間が割り出せない以上、予報するのは無理に近いと言うものだろう。
2006年6月4日、桜島の噴火が想定外のところから始まった。
しかし、これが大きな混乱をもたらさなかったのは、その年の3月にハザードマップが作成され、5月に住民説明会を開催していたからだと言う。(京都大学防災研究所・石原氏)
こういうラッキーもなければやってられないだろう。
次世代ハザードマップへの道は相当険しいという印象を持ったが、多くの関係者のご努力によってハザードマップが作成されていることが実感できただけでも有意義な研究集会であった。

怪しげな厚労省の動き(第261回)

3月2日の日経新聞朝刊に『国民年金基金の対象拡大』という記事があった。
国民年金基金は、自営業者などが任意に加入し、基礎年金である国民年金に上乗せする二階建て部分のことである。
サラリーマンの厚生年金のいわゆる自営業者版である。
これまで国民年金基金には海外居住者や60歳から64歳までの自営業者は加入できなかったが、これを加入できるように2年後には要件緩和をするというのである。
先ず誰しもが不安に思うのは、国民年金の莫大な資金運用もままならないのに、国民年金基金の資金までちゃんと運用できるのかという点である。
国民年金は、現在受給されている方の年金は現在収めている保険料でまかなわれているというのだから、悪く言えば壮大なねずみ講みたいなシステムである。
支給される年金には税金も含まれているので、当然現役世代の持ち出しが圧倒的に多いことになる。
国民年金基金まで同じ状況になってはたまらない。
そもそも運用益を稼ぎ出せる者だけが広くお金を集める資格を持つ のであって、年金運用者にせよ年金基金運用者にせよ、その資格があるのかどうか実に疑わしい。
しかし、まあ百歩譲って国民年金基金は任意加入なので、運用について心配な人は加入しないと言う選択肢があるのでこれは置いておこう。
真の問題は、厚生労働省の狙いである。厚労省は、自助努力で老後に備える手段を幅広く整えておく必要があるからだと主張するのであるが、果たしてそれだけが目的なのだろうか?
この加入要件の緩和が、単に厚生労働官僚の天下り先強化なのではないかという疑念がどうしても払拭できない。
年金問題でこれまで何百回何千回と騙されてきた者には怪しげな動きにしか見えないのである。