石油が値上がりすると半年から1年の遅れで景気が悪くなると言う「説」がある。
昨年は、急激かつ異常な石油値上がりがあり、はたして「説」のとおりに大不況をむかえるに至った。
資産価格の異常な上昇が投機マネーを生み出し石油市場なだれ込んだと言うのは、「説」の一つの説明ではあるが、まあ後付けの理屈に近いかもしれない。
それよりも私が非常に心配なのは、新聞や雑誌に登場するほとんどのエコノミストの主張が暗いことである。
今回の不況については、その大きさにしても長さにしても相当ひどい状態だと言う意見ばかりが聞こえてくる。
仮に、そうした当たってほしくない予想が的中した場合、これまでの金融機関に対する国際的な規制や時価会計制度の変更があるかもしれない。
人間、苦しいときにはどうしてもいろいろなことを言い出したり始めたりするものである。
しかし、こういう苦し紛れの発想にはあわてて飛びつかず、よりしっかりと対応を考えることが必要だ。
それよりもこういうときにこそ実現させねばならないことはある。
それは、『同一労働同一賃金』である。
どう足掻いても世界中が不況なのであれば、わが国としてはこれまでどうしても実現できなかったこの命題を実現してしまうべきである。
不況でないと実現できないと言われるのは情けない気もするが、これでも実現できないとなればそれこそもっと情けない。
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