食料自給率の誤解(第264回)

食料自給率の議論をしていて、議論がかみ合わないことがあった。
誤った知識がテレビ等のキャスター?から流れているようで、それを聴いた人が誤解してしまっているのである。
第一に、「日本人は食べ残しが多い。食べ残しを無くせば自給率は上る」というもの。
これは間違いである。
自給率は、実際にわれわれが食べた量だけではなく、残して廃棄された量もちゃんと計算に入っている。(食べ残しが良くないことは言うまでもない)
第二に、家畜や卵などの自給率の計算方法が理解されていない。
輸入飼料についても、実は自給率にちゃんと加味されている。
たとえば鶏卵は100%が国内産なのだが、飼料(たとえばトウモロコシ)の9割が輸入されていて国内産飼料は1割しかないので、鶏卵の自給率は10%と計算されている。
第三に、諸外国との比較において日本の自給率があまりにも低いと指摘されるのだが、その際一人当たりの耕地面積についてはまるで触れられていない。
わが国の一人当たり耕地面積はわずか3.7アールだ。
これに対して、アメリカは40倍近くあり、オーストラリアは600倍だ。イギリスでさえ8倍はある。
日本は基本的に山国であり、わずかな平野部にびっしり居住しているということを忘れてはしまいか?
もちろん、だからと言って自給率を上げなくともよいと言うことではなく、こうした当たり前のことを承知した上で自給率向上の議論をしなければ堂々巡りの議論になってしまうだろう。


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