日別アーカイブ: 2009年3月3日

怪しげな厚労省の動き(第261回)

3月2日の日経新聞朝刊に『国民年金基金の対象拡大』という記事があった。
国民年金基金は、自営業者などが任意に加入し、基礎年金である国民年金に上乗せする二階建て部分のことである。
サラリーマンの厚生年金のいわゆる自営業者版である。
これまで国民年金基金には海外居住者や60歳から64歳までの自営業者は加入できなかったが、これを加入できるように2年後には要件緩和をするというのである。
先ず誰しもが不安に思うのは、国民年金の莫大な資金運用もままならないのに、国民年金基金の資金までちゃんと運用できるのかという点である。
国民年金は、現在受給されている方の年金は現在収めている保険料でまかなわれているというのだから、悪く言えば壮大なねずみ講みたいなシステムである。
支給される年金には税金も含まれているので、当然現役世代の持ち出しが圧倒的に多いことになる。
国民年金基金まで同じ状況になってはたまらない。
そもそも運用益を稼ぎ出せる者だけが広くお金を集める資格を持つ のであって、年金運用者にせよ年金基金運用者にせよ、その資格があるのかどうか実に疑わしい。
しかし、まあ百歩譲って国民年金基金は任意加入なので、運用について心配な人は加入しないと言う選択肢があるのでこれは置いておこう。
真の問題は、厚生労働省の狙いである。厚労省は、自助努力で老後に備える手段を幅広く整えておく必要があるからだと主張するのであるが、果たしてそれだけが目的なのだろうか?
この加入要件の緩和が、単に厚生労働官僚の天下り先強化なのではないかという疑念がどうしても払拭できない。
年金問題でこれまで何百回何千回と騙されてきた者には怪しげな動きにしか見えないのである。