日別アーカイブ: 2007年10月21日

世界の潮流は人材の争奪戦(第154回)

前回10月13日の独り言では食料問題を取り上げた。実際問題として農業、漁業、林業支援策が手厚くならないと将来担い手ゼロの懸念すらある。
しかし、問題の全貌はもっともっと根が深い。
わが国は、先の第一次産業だけではなく、およそあらゆる分野で『人材不足』になる可能性が高いのである。
たとえば、すでに医療分野では大変な医師不足、看護師不足に見舞われている。率直に言って壊滅状態に限りなく近いと言わざるを得ない。
さらにはケアマネージャー含め介護関係者不足など、高齢社会をむかえるに当たって福祉分野の人材不足も指摘されている。
少子社会での深刻な担い手問題はすでに始まっているのである。
これを解決するには移民を受け入れると言う考え方がある。
今後はわが国でも移民受け入れの是非について相当な議論が湧き上がるだろう。
私が深刻に思うのは実は移民の是非ではない。
『移民やむなし』と言う国民的結論がでたとして、はたして移民がわが国に来るだろうかということである。
われわれが移民やむなしという結論を得るときというのは、単純作業の移民を求めているときではない。
医師であるとか看護師であるとか専門性の高い技能を有する人材を受け入れる『とき』 なのである。
医師不足はわが国に限ったことではない。アメリカでもイギリスでもカナダでもどこでも医師不足なのである。
言うに及ばずアメリカには医師が集まるだろう。
イギリスも必死で世界各国から医師を集めている。移民募集に躍起になっている。
ましてや世界各国の生活レベルが上がり、それぞれの国が質の良い食料を求めだすと同じように質の良い医療を求めるようになれば、言葉も風習も文化も違う国に働きに行く必然性が薄れるだろう。
そうした世界情勢の中で、わが国では移民受け入れが是か非かという議論が『これから』『たぶん』 おこるのである。
あまりに能天気と言うほかはない。
すでに人材争奪戦は始まっている。
国内において都市と地方でおこっている争奪戦は、実は世界レベルでおこっていることをわれわれは認識する必要がある。