千葉県議会6月定例会が始まって気がついたのは、前議会であれほど取り上げられた医師不足問題が今議会はまったく見られないことだ。
(私自身、3月の予算委員会で医師・看護師不足を取り上げた)
6月議会では、まるで完全試合のように病院局長が答弁に立つ姿が見られない。
さて、気になるのは病院特例債その後である。
平成20年6月6日に総務省自治財政局地域企業経営企画室長名によって、平成20年度に限って医師不足によって経営が悪化し、資金繰りが苦しい病院は特別に地方債を発行してよいという通知があった。
公立病院の閉鎖が現実のものになり、住民が相当な危機感を持ったために、緊急避難的に与党が動いたのである。
もちろん、ただ経営が苦しいから借金を認めるのではなく、改革プランを策定するという条件をつけた。
この措置により、51自治体と1組合が一息つくことができ、関係者からは感謝の声が寄せられ、実現した地域の議員はこれを自分の実績の一つに加えた。
病院特例債を発行した自治体は、都道府県では沖縄県、政令市では名古屋市、神戸市、そのほか北海道の9市3町、青森県の4市4町、大阪府の5市という具合である。
試みに各市町村の財政力はさておき、病院単位で発行額の多かった10市を見てみよう。
自治体名 | 発行予定額(億円) |
泉佐野市 | 24.9 |
柏原市 | 23 |
高砂市 | 22.7 |
徳島市 | 21.7 |
奥州市 | 18.6 |
留萌市 | 18.2 |
大村市 | 14.3 |
荒尾市 | 14 |
十和田市 | 13.8 |
赤平市 | 13.8 |
これらは借金による資金繰りである。決して財務体質が変わったわけではない。
改革プランが実行されているかどうかのチェックを議会が行わねばならない。
少なくとも特例債発行を実績に加えた議員はフォローするのが義務というものだろう。