財務省のホームページで主計局の『我が国の財政事情』を眺めていると色々なことが想起される。
たとえばこれほどひどい借金状態になると、この先も借金が増え続けたらどうなるのだろうという疑問がある。
原田泰氏の『日本はなぜ貧しい人が多いのか』のなかに「最後の日本人にとって国債とは何か」という興味深い議論が出てくる。
人口減少によって日本人がどんどん減っていったとき、最後の日本人はすべての負債と資産の相続人となるというものである。
「1億2740万人のいる2009年では、政府と国民は異なるものと理解されるが、日本人がただ一人になる2975年では、政府と国民は一体である。」
これは非常にユニークな視点である。
「負債の額と資産の額は同じであるから、全体としてはチャラである。」
このこと自体はなんら間違っていないと思う。
問題は、『システムは回ってこそシステムたりうる』という点である。
日本人が最後の一人になるまで、何も問題なくきちんきちんと国債が購入され続け、ルールにそって(たとえ60年後であっても)償還され続ければこの議論は正しい。
しかし、いつの時点でかにきちんきちんと購入されず、きちんきちんと償還されなくなったとき、すなわちシステムが滞った瞬間に不具合が起こる。
そして、おそらくそれは日本人がそれほど少なくなっていない時代だろうと勝手に推定する。
システム滞りの原因は金利の上昇かもしれないし、国債購入資金の不足かもしれない。
もちろんシステムの滞りをその時代の英知で回避する可能性もある。
いずれにせよ、部分的に正しいことと普通に正しいこととはちょっと異なっているかなと思うのである。
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