日別アーカイブ: 2009年8月12日

知事会財政試算の衝撃(第302回)

全国知事会「地方財政の展望と地方消費税特別委員会」の地方財政推計は予想されていたこととは言え衝撃的だった。
千葉県財政の厳しさもさることながら、やはりどの県も五十歩百歩だったことがあらためて明らかになった。
知事会の推計によれば、都道府県は2012年度の段階で今後の経済成長率が底ばいのケースでは13兆1000億円、順調に経済が回復したケースでも9兆1000億円の財源不足となり、どちらのケースであっても都道府県財政は2010年度、市町村財政は2012年度に破たんする というのである。
そして、仮に財政破綻を回避するために歳出削減を行ったとすると、どういうサービス削減になるかという例示もあげられている。
たとえば「公立小中学校の学級編成基準を40人から60人にする」
たとえば「全国1000か所の公立病院が経営危機に陥る」という具合である。
このように、たとえマイナス面であっても具体的事例を掲げる手法は非常に分かりやすい。
一方、2009年度の「普通交付税大綱」を見ると交付税不交付団体は市町村で151団体へ落ち込み、何と都道府県では東京以外は全て交付団体となった。
首都東京が唯一の不交付団体というあまりに異常な事態である。
ここまでひどいと、やはり制度自体がおかしいと言わざるを得ない。
税を納める者と税を集める者と税を使う者とが異なる状況ではただでさえモラルハザードが起りやすい。
ここまでひどくしてしまったのは、このモラルハザードを的確にチェックする仕組みに欠陥があることを意味している。
この一点を素直に認めることが出発点だとわたしは思う。
ここから、ではどういう仕組みを作るべきなのかの議論が始まるのである。
国と地方の関係の抜本的な見直しは、もはやまった無し。実は時代が要求しているのである。