高齢者医療をどうするのかという観点からマニフェストを点検してみたい。
公明党のマニフェストは、長寿医療制度について以下の約束をしている。
●低所得者等の保険料負担の軽減措置を継続します。
●被用者保険の被保険者であった方については被用者保険に引き続き加入できるように配慮措置を講じます。
●外来における窓口負担の自己負担限度額の引き下げを行います。
●公費5割、現役世代の支援4割、高齢者の保険料1割の負担割合のうち、公費負担引き上げを行い保険料の軽減を図ります。
わが党はあくまで長寿医療制度そのものは維持しながら、どう改正していくかに心を配っている。
その具体策が低所得者に対する保険料軽減や保険料軽減、外来窓口負担の軽減である。
では、なぜ長寿医療制度を支持したかといえば、従来の老人保健制度ではあまりに地域格差が拡大しすぎて、ついには破綻するところが出てしまうのが時間の問題だったからである。
要するに市町村単位で維持するのは不可能で、制度を維持するためにはもう少し大きな県レベルに拡大しなければならなかったのである。だから長寿医療制度は都道府県の規模での運営となっているのである。
これに対して民主党のマニフェストにはこう書かれている。
●制度、関連法は廃止する。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する。
●被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来、地域保険として一元的に運用を図る。
これは、長寿医療制度を廃止して国民健康保険にもどすというのである。
元に戻せば、運営が市町村単位になり破綻するところも出てくるだろう。
これに対してどうするのかはまるで分らない。
その一方で、●国民健康保険財政の地域間格差を是正する、というのである。
われわれが知りたいのは、都道府県規模の運営を市町村単位に戻してしまって、どうやって「地域間格差」を是正していくのかということなのであって、まるで答えになっていない。
民主党の試算によれば、元に戻すのに8500億円がかかるというのだが、もちろんそれは国民に負担してもらうのだという。
結局のところわざわざ制度を元に戻して、その費用はわれわれが負担させられるわけである。
共産党は、基本的に民主党と同じマニフェストである。
●制度は廃止し、老人医療制度に戻します。これにともなう国保の財政負担は国が補てんします。
「国が負担する」とは何と響きの良い言葉であろうか。
しかし、これを正確に書けば、国イコール国民であり、何のことはない「国民が負担する」ということなのである。
共産は「窓口負担をゼロにします」とも言っているが、要するにわれわれの税金でその分が負担されるのであって、共産党が負担してくれるわけではないのである。
まとめて言えば、民主も共産も老人保健制度の矛盾をどう解決するかに全く触れず、赤字になればその分税金をどんどん投入すればいいという考え方である。
これは、血税を使ってただ機械的に赤字分を補てんするだけであり、こんな結論ならば政治家不用である。
もっとも民主のマニフェストには、『ムダをづかい』の項目の中にちゃんと『国会議員』が入っているのだが。
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