月別アーカイブ: 2月 2008

多品種少量行政(第173回)

小売やサービスの分野で、『多品種少量』 という言葉が使われ始めたのは何十年前のことだろうか?
大量生産の既製品はもう流行らないということの対比として使われた言葉だ。
それが、ようやく行政の分野でも言われるようになってきた。
従来のように、70歳以上の方全員一律のサービスを提供する、何歳の子どもに一律のサービスを提供する、というような『行政サービス一律提供』が財政的になしえなくなってきているのも一因だろう。
たとえば、福祉というものを考えれば、困っている人に対して、その困っている内容に応じて、その困った状況を解消するに足るサービスを提供しなければならない。
ところが一律サービスでは、困った人の困った内容や困り具合に応じていないケースが出てくる、あるいは困っていない人にも同様のサービスが提供されてしまうかもしれない。
したがって、これからの行政はその人に応じたサービス、すなわち『多品種少量』が求められるというわけである。
行政という、マーケットの範囲外にある分野であっても、こうした流れというものはもはや免れがたい。
行政はいま一段上の進歩が求められているのである。

奈良県の社会実験(第172回)

新聞記事を整理していたら、昨年12月15日の奈良新聞に眼が止まった。
見出しは大きく『企業誘致へ超低金利策』とあり、「来年度から県が新制度」「日本政策銀と連携」と書かれていた。
なるほど、奈良県が日本政策銀行と連携を持つのは良いだろう、とわたしも思う。当然、シンクタンク的なアドバイスが入ってくることもあるだろうと思う。
しかし問題は、これだけ市場金利が安いときに、さらに金利を低くしたとしても投資をする企業がどれほどあるのか?と言う点である。
率直に言って、私には疑問だが、もしかしたら続々と奈良県に企業が来るのかもしれない。
実は、このテーマは非常に興味深い一種の社会実験なのである。
はたして、成功か失敗か今後しっかりとモニターしていきたい。
また奈良県が、金利だけではなく、その次の手をどう打ってくるかにも注視してみたい。

中国製冷凍ギョーザ(第171回)

1月31日、中国製の冷凍ギョーザが原因と思われる健康被害を受け、公明党千葉県議団は千葉県に対して「中国餃子による健康被害に関する申し入れ」を行なった。
被害にあわれたすべての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
さて偶然のなせる業か、まさに現在、公明党千葉県本部として「消費者から見た食品の安全性に関する意識調査」を行なっている最中である。
すでに集計作業に入っている調査用紙については、今回のギョーザ問題以前の調査ではあるが、回収されたアンケート用紙をみる限り、かつての中国の残留農薬野菜が決して過去の問題となっていないことに気付かされる。
最後の設問で食品の安全性について自由に書き込んでもらうことになっているのであるが、「中国産のものは買わない」「中国産は×」「中国産は見向きもしない」という厳しい意見が見られる。
失われた信頼を取り戻すことの困難さはしばしば語られるところであるが、そのうえに起こった今回の事件である。
中国は国をあげて信頼回復に向けて真摯な努力をして欲しいと思う。
食の問題は全方位である。
日付、添加物、農薬、遺伝子組換え、アレルギー物質、原材料、衛生管理、表示、栄養、味、値段などなど、ありとあらゆる分野についてきっちりとした管理が求められる。
こうした食品、食物を扱う人や機関の責務の重さを供給者は十分自覚して欲しい。そして同時に、消費者においても、それだけ厳しい責務を負いながら食物、食品を生産、流通、販売している供給者がいるということを受け止めねばならないと思う。
食の安全には、この両者の意識の高めあいが必要不可欠なのだと思うのである。
意識調査については、分析結果がまとまり次第、なるべく早く公表してまいりたい。