グラミン銀行は失敗か?(第485回)

今朝の公明新聞に掲載されていた『少額ローンで自殺者急増』という記事はいろいろ考えさせられた。
同記事はニューデリー時事が伝える『インドで新たな貧困問題』で、グラミン銀行の手法の失敗を報じている。
グラミン銀行は、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏がバングラディシュで創設した銀行だ。
無担保で貧困層に小口融資をし、起業させることにより貧困救済を図ろうというものである。
グラミン銀行については、かねてより同様の懸念を表明する人もいた。
たとえば返済がちゃんとなされるのか?という疑問は常について回る。
仮に返済が滞った場合、銀行側から見れば損失、借りた側から見ればさらなる貧困ないしは最悪の結末もある。
お金を貸す、借りるというのは貧困層にとってはまさに重大なことである。
しかし、現実に2400万人の契約者が存在するということは、やはりこの仕組みは必要なものであることは間違いない。
するとこの問題もまた、制度自体は正しくとも運用を誤ると制度の根幹を揺るがしかねないという教訓を示すものである。
市場主義、資本主義の国においては、政治が需給をコントロールできない、極力しないというのが原則である。
だからこそ『運用』面についてのコントロールを問われる。
人間社会は実に複雑で難しいものだと思うのである。


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