1年前の消費税論議(第487回)

第2次菅改造内閣は「消費税増税」への布陣だと言われる。
与謝野氏を経財相に抜擢したのがその証左だという。
1月19日の日本テレビに対する与謝野氏の発言「消費税の税率を引き上げる際には、一気に上げず、段階的に実施することもあり得る」(趣意)などを見ているといよいよ消費税増税に動き出すことが確実に思われる。
そこで、ちょうど一年前にどのような議論が行われていたのか明確にしておこう。
2010年1月21日の衆議院予算委員会で菅直人氏はこう答弁している。
『消費税の議論でありますけれども、私は、総理も何度も言われていますが、今のこの連立政権において、4年間、消費税の引き上げをやることはしない』
2009年9月から4年間といえば2013年8月までであり、今はまだ2011年1月である。
早くもぶれぶれではないか。
詳細に追いかけていけば、菅発言はもともとブレブレだったことを誰もが思い出す。
予算委員会からちょうど5カ月後の6月21日の記者会見では
『早期にこの問題について、超党派で議論を始めたい。
その場合に参考にすべきこととして、自民党が提案されている10%というものを一つの参考にしたい。
そのこと自体は公約と受け止めていただいて結構 です』
この5日後の6月26日の記者会見では
『消費税を含む議論をスタートさせましょうと提案していることを公約と言われるなら、その通り』
「公約と言われるなら、その通り」と、まるでこちらが『公約』だと言っているかの様な発言をする。
「公約と受け止めていただいて結構」と発言したのは菅総理ご自分なのに、他人が言ったようなレトリックを使うところがこの人らしい。
そしてさらに4日後の6月30日の発言は具体的な仕組みまで述べた。
青森市では『(低所得者対策として)年収が200万や300万までは還付制度を』
秋田市では『(低所得者対策としての還付制度は)年収300万とか350万以下』
山形市では『例えば年収300万円、400万円以下』
南下するに従って、還付される年収が上がってくるのが特徴だ。
青森が250万円で山形が350万円。
その距離からすると東京では450万円、名古屋では550万円、岡山では650万円である。
これでは沖縄に至れば1000万円を超えてしまう。
「消費税はあげない」から「10%は公約」となり、旗色が悪くなると「議論開始が公約」になる。
そして今度は、自分がやるのではなく抜擢した大臣にやらせようというのであろうか。
いずれにしても、国民は何を信用すればよいのか?
残念なことに民主党政権には信ずるに足るものが一体何なのか、まるで見い出せないのである。


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