犯罪被害者の声から

dsc_8120ご本人様の了解を得て、以下のお話をもとに一般質問させていただきました。省略することがなかなかできず、大変長い引用となりました。

「私の主人は、大手商社に勤めており、毎日夕食もとらずに、11時頃に帰ってくるという仕事をしていました。
夜中の2時に帰って来て朝の5時に出るということもあり、あんなに働く人は見たことがないといわれる働き者でした。
主人は、休日も仕事が多かったのですが、子どもたちと過ごせる時間はいつも優しく、全力で遊んでくれました。子どもたちはそんなお父さんが世界で一番好きでした。
そんな主人が、忽然と姿を消してしまったのは2004年11月24日の事でした。
その当時、主人は、元上司が会社の証券を持ち逃げして会社を辞めてしまい、会社側の訴訟担当者となって働いていました。主人は、その証券を取り戻そうと何度もフィンランドへ渡り、それこそ死ぬ思いで交渉を続けていました。
北欧行きのスケジュールはきつく、ホテルで寝る間もないときもありました。
そのような必死の努力の甲斐あって、ついに元上司から証券を取り上げ、会社に戻すことができ、その裁判の和解が成立するその日に、主人は忽然と姿を消してしまいました。
主人がいなくなってから、わが家には警視庁捜査一課の女性刑事が泊まり込み、電話には逆探知が取り付けられました。
警察からは口止めされ、誰にも主人がいなくなったことは言えません。私も普段通りくらし、子どもたちも普段通り学校へ行き、近所の人から尋ねられても嘘をつくしかありませんでした。
一体どうしてしまったのか全く分からないまま、行方不明から1カ月たったクリスマスの日、お父さんの帰りを待ちわびている子どもたちのもとに、お父さんは遺体で帰ってきました。
主人は、11月24日の夜、帰宅する寸前の我が家の前で、元上司が雇った若者5人に拉致され、ガムテープでぐるぐる巻きにされ、殺されてしまったのです。
主人が行方不明になってから大変つらい日々でした。生きているかもしれないというわずかな希望のなか、ずっと女性刑事が私に寄り添ってくださいました。食事を作ってくれたこともありました。しかし、遺体が発見されて犯人が捕まると、唯一頼れる存在だった刑事は私の前から去って行ってしまいました。警察は犯人逮捕が仕事であり、いつまでも私の家にいるわけにはいきません。
近所の人が頻繁に訪ねてきます。主人の実家から7人が出てきました。
私は家中に布団を敷き、10人以上の食事の支度をしました。
皆、泣いています。私はひたすら「ごめんなさい」といいながら、毎日来てくれるお客さんにお茶を出しました。
私もどうしてよいかわかりません。殺人事件のあとはどのように進むのか誰もわかりません。
私にとっては毎日毎日が地獄の日々でした。事件後の事務処理が次々とやってきます。
主人が使っていたパソコンはパスワードが分からず開けません。銀行、携帯電話、保険、株など40歳のわずかな財産でも本人でないと解約することもできません。役所には死亡届から始まり、各種書類をぐるぐる階を回って提出しました。
その都度、何度も何度も同じことを説明し、窓口の人も涙を浮かべながら手続きをしてくださいました。
それ以外に、私自身の仕事もしなければなりません。私は毎晩2時ぐらいにやっとお風呂に入り、疲れて、このまま死んでしまえたらどんなに楽だろうと思いました。
でも、お母さんまで死んでしまったらあの子たちはどうなってしまうのだろうと思い、毎日、やっとの思いで生きていました。
娘は、誕生日に外食をして「好きなケーキを食べていいのよ」と言っても「お父さんが食べられないから私もいらない」と大好きだったケーキも食べません。
運動会、学芸会、入学式、クリスマス、子どもたちはつらい思いをしてきました。
そして、裁判が始まり、迎えた判決はあまりにも軽いものでした。
主人には何一つ落ち度がなく、すべて犯人たちのせいであるにもかかわらず、裁判長は淡々と刑を言い渡し、加害者に「真面目に務めればもっと早く出られますよ」と励ましのお言葉つきでした。
主人はまじめに働いて殺されて、人を殺した人が刑務所で短い間働けば、たとえ反省もなく再犯の恐れがあっても私たちの社会にでてくるのです。
私は犯人たちがうらやましくて泣きました。夜中まで事件の後片付けの仕事をしなくていいのがうらやましい。更生するまで国が守ってくれるのがうらやましい。被害者や被害者遺族に比べて加害者たちはうらやましくて仕方のないことばかりでした。被害者遺族は一体だれが守ってくれるのでしょうか。」
犯罪被害者の方のお話を伺いますと、言葉につくせない、やるせない思い、また乗り越えがたい理不尽さに居ても立っても居られなくなります。
そこでお伺いいたします。
第一に、被害者あるいは被害者のご家族が警察に対して何を望んでおられるのか、それに対して警察はどう答えているのか。
第二に、千葉県の犯罪被害者の公費負担制度への対応はどこまで進んできたのか?
第三に、犯罪被害者やその遺族の方の状況を何よりも県民に知ってもらうことが重要だと思います。そこでその声をぜひ県警本部のホームページで紹介してほしい、それも見つけやすく紹介していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
以上3点、お尋ねいたします。


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