『チーム医療』という言葉(第507回)

「ふじいの独り言」第507回
『チーム医療』という言葉には良い雰囲気がある。
集団で診てもらえるのなら安心というイメージだ。
しかもアメリカでの医療システムだと言うのである。
「それは素晴らしい」と結論されるのが普通であろう。
しかし、果たしてそうなのだろうか?
米国で研修をしている反田篤志医師の『研修医が見た米国医療』(ロハス・メディカル)によれば、それほど単純な問題でないことがよくわかる。
入院患者を例にとると、日本の場合は主治医制であり、一人の主治医が24時間365日その患者を診る。
そして、その主治医はその病院の医師である。
一方、米国では主治医は自らのオフィスを持っており、患者が入院している病院に勤務しているわけではない。
米国の主治医は「一日に一度病院に来て大まかな流れをチェックし、研修医に指示を出す」(反田氏)
重要な決断が必要な時には研修医が主治医の指示を仰ぐと言う。
このほかに米国では医師同士が診療グループを作って週末や休暇をお互いにカバーし合うのだと言う。
それにより過重労働を回避し、医療ミスを防げるのだと言う。
このデメリットは、総合的な診療が出来なくなることや濃密なケアが出来なくなることだ。
他の医師や研修医への引き継ぎも難しいだろう。
反田氏のレポートは、そういう弊害を是正するために米国ではホスピタリストと呼ばれる日本でいう勤務医が登場していることを伝えている。
そして、病院外にいる医師が診る入院患者と病院内に勤務するホスピタリストの診る患者の二種類がいるのだと言う。
米国が日本のシステムに近づいていることはアメリカ型にも問題がある証左である。
とは言え、周産期医療、新生児の難しい医療を診ていると日本型の主治医制度が維持できるとはとてもとても思えない。
つまり、米国流のチーム医療にも日本型の主治医制にも共に問題点があるのである。
果たして、二つの医療システムの中間のどこかに最適解があるのだろうか?


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