後期高齢者医療制度の心配な部分(第235回)

理論的に正しくとも現実には失敗だったということはいくらでもある。
例えば年金制度。
社会保険方式が理論的には正しいと私は思う。
しかし、実際には社会保険庁という組織が丸々必要になり、今となれば税方式にしたほうが明らかに効率的であったと思われる。
「理論より現実」、そしてさらにこの種の制度は基本的に永続性が求められるので、長期的展望に立ってどうか?という検証はしておかねばならない。
今回の独白のテーマ「医療制度」について言えば、これまでの老人保健制度がだめだという点は合意が得られていると思う。
民主党や共産党の面々は、後期高齢者医療制度をもとの老人保健制度に戻せと主張しているが、老人保健制度がダメなことくらい少なくとも民主は分かっているだろう。
だからこそ、民主党自身が新しい制度を創設すべきという決議を提案したのだ。ただ、その新しい制度を提示できないから元に戻せといっているに過ぎない。
元に戻したら余計ひどくなることは、火を見るより明らかなのに無責任なものである。
私が心配しているのは、運営主体が広域連合というわけの分からない組織である点だ。
すなわち、都道府県でもなく、市町村でもない。
都道府県内のすべての市町村が集って構成する。そこに都道府県は入っていない。
広域連合のトップはその都道府県内の市長会の会長のようだ。
少なくとも千葉県の場合は船橋市長である。
しかし、これは多分市長会の会長が交代すれば交代した市の市長になるのだろう。つまり松戸市長になったり市川市長になったりするのであろう。
そして、広域連合の議員は県内すべての市町村議会議長だという。
議長など毎年代わるのが普通で、そうなればあて職の最たるものだ。
つまり、広域連合の意思決定機関が無責任体制なのである。
チェック機能も何もかも心配だらけである。
そもそも広域連合のような都道府県内のすべての市町村で、かつ県が加わらずに何かの制度を運営するという事例を私は知らない。
過去に事例のない団体が過去に事例のない制度を運営し、しかもその制度の運営が非常に難しいのだ。
となれば、その運営は理論的には可能でも、おそらく今後いくつもの失敗が出てくることは避けられない。
ましてや、そこにモラルの乏しい人間が混じれば・・・・
理論ではなく、現実問題として後期高齢者医療制度の心配な点はこのことなのである。
そしてこれはひとりひとりの市長や議長がどれほど有能であっても免れがたいことなのである。