国が都道府県に医療費適正化計画を作らせると言い出したとき、眉につばをつけておかねばと思った。
大体、国が地方になにかしらの計画とかマスタープランを策定させるときには、その裏を読む癖がついているのである。
たとえば天下り先の確保に使われるのではないか?とか特定の団体に儲けさせようとしているのではないか?など疑り深くなっている。
これまでずいぶん騙されてきたのだから当然のことだ。
それに、わが国の医療体制というのは、健康保険組合、共済組合、協会けんぽ(これまでの政府管掌保険)、国民健康保険などばらばらであり、都道府県や国がこれらの団体のデータをどれだけ持っているのかという疑問もあった。
しかし結局、「高齢者の医療の確保に関する法律」第9条第1項の規定に基づき都道府県はそれぞれ『医療費適正化計画』を策定せざるを得なくなったのである。
実は、千葉県の計画はまだ出来上がっていない。おそらく策定されていないのは全国でも5団体ほどだろう。
出来上がっていない県の人間がこういうことを書くのも申し訳ないのだが、出来上がったところの計画を見るとビックリしてしまうのである。
たとえば、平成20年2月に策定された某県の計画は、まず1ページ目を開くと『医療費の現状』という分析になっている。
そこにはこう書かれている。
『平成14年の本県の医療費は、高齢化の進展や医療技術の高度化等に伴い、平成2年度の約1.6倍、老人医療費は約2.3倍に増加してします。』
ここで呆然としてしまうは、『平成14年度の』 という部分である。
ご丁寧にもこの記述の下には、平成2年度と平成14年度の医療費を比較した表まで掲載されているのだが、なぜ平成20年2月の『医療費適正化計画』に『平成14年度』が出てこなければならないのだろうか?
その後の『本県の医療費の推移』も『一人当たり医療費の全国比較』も『平成14年度』の数値であり、比較的新しいものでも『平成17年度』である。
そこで、違う団体の適正化計画を見てようやく理由が分かった。
つまり、データが平成14年度、17年度と3年に一度取られており、某県では17年度が間に合わなかったのだ。
したがって、間に合った県では平成17年度の数値を使っているのだが、それでも平成17年度 である。
そんな古い数字で平成20年度から以後5年間の医療費適正化を推進する計画を立ててしまって本当に大丈夫なのか?
しかも案の定、データも国保と老人保健はあっても、その他の被用者保険のデータが無い。推計の推計の推計だらけである。
ここまで来ると、『医療費の適正化』の前に『データの適正化』を実現せねば、計画倒れではなく誤った計画立案になってしまうのではないかと心配になってくるのである。
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