分からないことのガイドライン(第247回)

環境省は温泉資源を保護するためのガイドラインを2008年度中に正式決定するという。
伝えられるところによると、内容は泉質が変ったり、湧出量が減ったりといった枯渇減少が発生した区域を対象に、都道府県が、新たな温泉開発のための掘削を禁止できることを明記しているという。
温泉法は、掘削を都道府県の許可制としているがその判断基準を示していない。
そこで環境省は資源保護のために不許可を出す基準をガイドラインで明らかにすることにしたという。
しかし、考えてみればこれまでそうした基準もなく審査をしていたのであるから、審査はほとんど形式的なものだったろう。
千葉県の場合、環境審議会温泉部会長が資源保護の立場を大切にする方だったので審査は公明正大かつ厳正であった思う。
しかし、その千葉県の審査ですら掘削にストップがかかったことはここ5年間で1度だけだ。
それも、掘削位置が公道に近すぎるので海風を考えると機材転倒のおそれがあるということで、温泉の保護とは無関係の事項であった。
「これはやめておいたほうが良いのになあ」と思う案件はないでもなかったが、温泉法では不許可とできなかったのである。
その意味ではガイドラインの提示は一歩前進であろう。
厳密に言えば、地下資源は国民全員のものである。
たまたま自分の土地を掘って、温泉が出たのでそれを利用するというわけだが、なるほど温泉の噴出口はその人の土地だったとしても、泉源は隣接の他人の土地の地下にある可能性も十分ある。
厳密に言えばおかしな話である。
今度のガイドラインは、どうやら『泉質が変わった』『湧出量が減った』という場合に限り不許可を認めるというもののようだ。
それよりも温泉の温度をモニターすることがより重要だろう。
温泉が枯渇する前兆は温度に表れると推察されるからだ。
温度計のモニターリングまで踏み込んで欲しかったと思うが如何なものであろうか?
地下のことは誰にも分からない。
その分からないことのガイドラインはあくまで抑制的なものにしたほうがよいと思うだが。


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