マグマはどこまで上昇した?(第250回)

2月2日に噴火した浅間山に注目している。
浅間山はいきなり噴火するパターンの火山なので油断は禁物だ。
事情が許せば黒斑山に限りなく近づきたいのであるが現実にはのぞむべくもない。
仕方なく「まえちゃんネット」などいくつかのライブカメラをモニターさせていただきながら注視しているのである。
今回の噴火で目を引いたのは、東京大学地震研究所火山噴火予知研究推進センター特任助教の田中宏幸氏のミュオン解析である。
それによれば、今回の噴火はマグマの上昇によるものではなく、その熱により水蒸気爆発が起り、火口の溶岩を吹き飛ばしたというのである。
同じ厚さの岩盤なら密度の高いものほど宇宙線ミュオンを吸収するという性質を使って浅間山の内部の密度変化をとらえての解析だ。
すごいことをやっているとただただ感心する。
私ごときには観測の正確性はまるで分からないので、この報告が正しいのかどうかは言えるはずもない。
ただ今回の噴火のケースでは、火口直下約200メートルの部分で昨年9?12月に約1万5000立方メートルの膨張があったというのが気象庁の発表である。
一方、国土地理院はGPSによる観測で昨年7月以降、火口の西北西約6キロメートル、地下約2キロメートルマグマ約200万立方メートルがあったとしている。
これら東大地震研、気象庁、国土地理院の3者の発言を単純に組み合わせれば、地下2キロメートルにあったマグマが地下200メートルまで上昇して水蒸気を熱して爆発したということになる。
こんな単純な理解でよいのだろうか?
はたまた新しい観測結果か何かが出てきて3者発言のいずれかと矛盾が生じるのだろうか?
まるで推理小説の目撃者発言めいた状況である。
ここで小説のように名探偵が登場し、ぱっぱっぱっと鮮やかな謎解きをするというわけにはいかないのだろうか。


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