人口ダイヤモンドの行く末(その3)(第260回)

国内市場の縮小が自明となると雇用の問題はどうなるだろうか?
これは非常に難しい。
いまは「非正規雇用を正規雇用に」という大きな流れがある。
マスコミや評論家もキャンペーンのように主張している。
ここで、正規雇用についてもう少し掘り下げて考えてみたい。
「非正規雇用を正規雇用にせよ」という主張の裏には、正規雇用になれば企業は簡単にくびにできないだろうという発想がある。
それはその通りなのだと思う。しかし、問題はそれがどういうことを意味するかである。
まず、雇用に対して企業が慎重になることはあるだろう。しかし、一方で少子化がすすむのでこの点はクリアできたと仮定しよう。
給与はどうだろうか?
仮に20歳で就職して60歳までの40年間働くとして、毎年毎年給料が上るだろうか?
これは、毎年上ると考えている者はいないだろう。地方公務員給与でさえ下る時代である。
したがって、給与は上るかどうかわからない。むしろ下る可能性も十分あるという認識を持たねばならない。
さらには、もっと根本的にそもそも40年間その企業が存続するという可能性はどれほどあるだろうか。
超一流企業ならともかく、相当の大手企業ですら生き残りは難しいのではないか。
つまり「正規雇用をせよ」という主張の裏には、正社員となれば毎年給与はアップするし、企業は倒産せず同一企業でちゃんと40年間定年まで勤め上げることができるという暗黙の了解があるのではないか?
しかし、給与も企業の存続も現実には非常にあやふやな話なのである。
国内市場の縮小はますます企業の生き残りを難しくするだろう。
すると、少子化により就職者の数が減り仮に企業に対する正規雇用の義務付けに成功したとしても、それで雇用問題が解決という単純な話ではないように思える。
雇用の問題は実に悩ましい。税制から株式市場の整備からセーフティネットの強化まで、実に多方面からアプローチしなければならない問題なのである。


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