人口ダイヤモンドの行く末(その2)(第259回)

さて、国内市場の縮小は自明といってよい。
そのなかで、企業や産業はどう生き延びていくのだろうか?
製造業は人口が増えている世界市場を相手にすることができるがサービス業は国内で生き延びるしかない。
一方、少子高齢化は社会保障制度を維持するコストを押し上げる。これも自明のことである。
高齢化が進めば医療費や介護費や年金財源も増大する。
しかも負担すべき世代は少子化によりどんどん減少していく。
こうした条件から導き出される結論は、公費負担には限界があるという一点である。
医師不足対策や病院経営の厳しさから「日本はGDPに占める医療費が少ない」と言う議論がしばしば出てくる。
しかし、その前に日本は医療費に占める公費負担が多いか少ないかと言う観点での議論がなされるべきだろう。
他の先進国に比べて日本の公費負担が少ないはずがない。
すると日本の医療費における特殊性は公費以外の負担の少なさが問題だと言うことになる。
今、千葉県内の医療界では進んだ医療技術をアピールすることにより海外からの患者を呼び込もうという機運が高まりつつある。
実際に、相応の有力病院も出現し始めた。
これまで外国人患者と言えば、治療費を払えず病院や国や自治体の持ち出しという構図が多く見受けられた。
それを逆に収益の柱にしようと言うのである。
非常に野心的な試みである。そのためには、わが病院はこの分野がすぐれている、群を抜いているという指標を情報公開するという高いハードルが存在している。
しかし、今後も質を落さずに医療体制を維持していくためにはこうした発想しかないように思われる。
そして、萎む国内市場においてサービス産業を活性化する大きなヒントがここにあるように思われるのである。


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