買うものがない時代(第257回)

買うものがない時代と言うのは不幸な時代でもある。
かつてのインドはイギリスから買うものがなった。イギリスは売るものがなかった。しかし、イギリスはインドの紅茶がほしい。インドはイギリスのもので欲しいものがない。
時代が時代で、なおかつこういうケースになれば、力づくで買わせるということになり、その結果として植民地化ということになる。
正確性はかけるが図式的に言えばそういうことになる。
中国も同様で、イギリスは中国に売るものがなく、結果として中国人にアヘンの習慣を植え付けるということになる。
買うものがない時代が不幸だと言う意味はこういうことである。
私は欲しいものがあまりない人間なので、こういう時代にあっても特に不幸を感じていないが、売る側の企業や商店にとっては大変な時代である。
もし仮に、腕づくで無理矢理買わせることができる時代・社会であれば、私と企業・商店の関係もインド・中国とイギリスの関係になっていることだろう。
もちろんそんなことはできないので、企業・商店はお金をかけてテレビやインターネットでCMを打つわけである。
さて、視点を変えて日本と言う国を見たらどういうことになるだろうか。
日本としては買いたいものは山ほどある。
たとえば、原材料やエネルギーとしての「資源」も買いたい、「食料」も買いたい。
一方、資源国や食料輸出国も売りたいと念願している。
そして、国と国との経済の強さと言うのは相対的なものなので、たとえ日本経済が弱まっていてもそれらの国々が日本よりもさらに弱い状態であれば、結果として日本経済は強いことになるのである。
すると円が強い「円高」の現在、日本のとるべき戦略はきわめて単純な結論となる。
資源や食料の手当てを今のうちにしっかりとつけておくことであり、間違っても破綻した外国の金融関係企業を買うことではない。


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