5月4日の読売新聞朝刊に『生活苦しくなった54%』という世論調査記事が出ていた。
それによると2006年12月調査では25%だった同調査の数字が倍以上になったというのである。
率直に言って、この調査数値には違和感を覚えた。
それは3年前には25%だったと言う点である。こんなに少なかったのか?という驚きである。
と言うのも、『生活が苦しくなった』『生活にゆとりがある』という意識調査は、私がずっと追いかけているテーマの一つだったからである。
厚生労働省は国民生活基礎調査の中で『生活意識の状況』調査を長年行なってきた。
私はそれを平成3年からグラフ化してきている。
このデータを見ると、2006年の『生活が苦しい』と『やや苦しい』の合計数値は56.3%であり、読売新聞調査とあまりにかけ離れている。理由は不明だが、私の作ってきたグラフ(出典は厚生労働省調査なので偉そうに言うことはないですね)をみると以下のことが言える。
『生活が苦しい』と言う人は増加傾向にある。これは間違いない。
平成4年などはバブルの余韻があったせいか減少しているし、平成12年までは減少する年もあったが、それ以降は一貫して増え続けている。
『やや苦しい』が横ばいになっていても『大変苦しい』と言う人が増え続けている のは要注意である。
反対に『ややゆとりがある』とする人は減少傾向にあったがここへ来て横ばいになった。
この『ゆとり』のデータで興味深いのは、好況不況に関係なく『大変ゆとりがある』とする人の割合はほとんど変わらない 点だ。
データを見ていて特に問題だと思うのは母子家庭である。
平成9年以降、『生活が苦しい』と言う人が85%を下らない。
逆のデータで言えば『ゆとりがある』とする人が1%を超えない。
最新の19年の数値では『苦しい人』が85.1%であるのに対して、『ややゆとりがある』がわずか0.7%、『大変ゆとりがある』が0%である。
母子家庭が増加している現実を考えれば、この『苦しさ』が数字以上に厳しく、『苦しい』人の激増が読み取れる。
私たちの社会は母子家庭に厳しすぎる気がしてならない。
これらのデータからも子育て支援に特段の力を入れるべき ことが分かるのである。
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