年金制度を検討する(2/2)

4)現在の年金制度は世代間で不公平がある。この不公平を解消するには賦課方式から積立方式に変更すべきである。

高齢者ほど受け取る金額が高くなるという世代間不公平は生じています。しかし、若い世代も含めすべての世代が支払った保険料以上に受給できる設計となっています。
さて、賦課方式を積立方式に変更すれば、確かに世代間不公平は解消されます。その代わりに大きな問題が生じます。
仮に、賦課方式を積立方式に切り替えますと、現在受給している方の年金は負担しなければならず、さらにその上に自分が将来受け取るための年金を積み立てなければなりません。つまり二重の負担となってしまいます。

5)その二重負担解消のために現在の積立金を使えばよい。

積立金によって2年から3年分の支給額は確保できます。それではとても足りませんのでおそらく年金支給のために国債を発行することになるでしょう。まずこうした国債発行を良しとするかどうかです。
民主主義国家ですから、仮に国債発行をしてもよいという民意であり、積立方式に切り替えができたとします。
先に問題となったAIJ社のように、今度はどれだけうまく運用ができるかという問題になります。仮に運用に失敗したとすると、世代間の公平は守られたものの年金受給額は減額したということになりかねません。
国際経済や国際金融の動向によって、運用がうまくいった世代と運用がうまくいかなかった世代という新たな世代間不公平が生まれる可能性があります。
賦課方式では、人すなわち『民意』が決めた結果により生じた世代間不公平、積立方式では『市場』が決めた結果により生じた世代間不公平という違いだけのような気がします。
そして、積立方式にするために積立金を失い、国債という借金が増えているのですから、積立方式はそれほど良いものかどうか、私には疑問です。
いずれにしてもより良い折衷案はあるかもしれませんので、議論は幅広く行うべきだと思います。


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